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 ピッカピカの卵から腕がでてきた。一本ピーンとたった腕。どうやらあれの中にはちゃんと何かがいる……みたいが。


「単為生殖ができたんだ」


 ただのエネルギーの塊が「卵」という形を取って排出されてるのだと思ってた。でもどうやらあれは紛れなく「卵」だったようだ。どういうことかというと、つまりは子孫を生み出してる……ということだ。

 まあなんで腕? って感じではある。だって子孫って親の遺伝子やらを受け継いでるわけじゃん。でもあの黒いのはあんまりはっきりとは見えないうえ、きっと腕はない。いや、ドローンの解析もそこそこ妨害されてるから完全にはまだあの黒い何かの姿の全貌はわかんないんだけど……それでも大体の姿はわかってる。

 それによると、あれはやっぱり巨大な魚である。まあ水中で暮らしてるんだからね……人形になるよりかは魚の姿のほうが合理的なのは当然というか? そもそも人魚が意味わかんないよね。

 たしかに人と魚のハイブリッドという点はいいと思う。だって魚では文明を築く……なんてことはできないだろう。何かを作る……ということが腕がないと難しいからだ。それでいうと、魚と人間のハイブリッドな姿は水中にも文明を築くことが出来るとても素晴らしいことだって思える。


 けどさ……生物学上の進化として、人魚ってどっちからなんだ? と思わないか? それはつまりは元は人間が水中に適応する中で魚の下半身を手に入れたのか? それとも元は魚で魚が進化して人の上半身に変わっていったのか? である。


 今のところは後者の方が有り得そうとは思う。なぜにそう思うのか? それは泉の街の住民を思い出せばわかる。それは中間がいたからだ。魚の胴体に腕と足が生えたやつがいた。あれってとても不気味だしアンバランスだけどさ……進化の途中の過程だと思えばおかしくなくない? いやね、両親が人魚であれが生まれてくる……となったらおかしいけどさ……でもある意味で魚から人魚の過程の一部と見ればそこまでおかしくないように思う。

 まあ人魚になる過程でなんで足が生える必要がある? というのは置いといてね。でも足や腕が生えるのなら、上半身が人のようになってもおかしくないかもしれない。


「でもそれなら亀人間は完全な二足歩行だったし、あれは人間が亀に変化したのかな?」


 亀人間は甲羅を背負ってる以外はほぼ見た目人間だった。ならば人間から水中の生活に適応するってのもあり得るってことになるね。けどなんで亀? そこはわかんない。水中に適応するなら、まずは人の指の隙間に水かきとかが出来るんじゃないか? そもそもが指というのは水かき部分が陸上生活で要らなくなったから退化していったんじゃなかった? それなら遺伝子からそれを復元とかさ……出来るような気がする。


 そんなことを考えてると、卵からでてた腕が二本になって、その腕が左右に動いて卵を真っ二つにする。そしてでてきた存在はやっぱりだけど人の上半身をもち、下半身は魚の姿をしてた。つまりは人魚というのはあの黒いのに生み出された存在? それならあれを信仰するのもわかるかもしれない。

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