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『どうやらそのブヨブヨしたのはあなた達から力を吸ってるようですね』
「ええー!? どうりでなんか気怠いと思った!」
「術の構築もできないと思いました」
私のアドバイスを受けて、二人はどうして力を発揮できないのかわかったようだ。ただ発動を阻害される手錠だけが原因なら、こんなことにはなってなかった。だから二人は不思議だったんだろう。
「ううー、これならここに入る前に動くべきだったね」
「そうですね」
二人は後悔してる。もしもこの場所以外……それこそあの手錠だけの状態なら、内側……体内で完結することで、その力を全力ではなくても発揮できた。でも、この牢に入ったことによって、常に力を吸われる状態になったことで、自身の内側で力を練ることもできなくなったのだ。
そうなると、今や二人はか弱い女の子だ。そうなると厳しいよね。女の子の腕力で実は硬い格子をぶっ壊すのは無理だろう。それこそ特殊な力が必要だ。
『少し待っててください』
私はそう二人に伝える。本来なら二人はここで詰んでしまったと言える。ゲームオーバーというやつだ。ちょっと油断が過ぎた。実際、二人が本気で暴れたら、二人でここを壊滅させることくらい出来るだろう。でもだからってね。こうなることもある……といういい勉強になっただろう。
いくら強くても、搦手でからめとられたら、どうしようもなくなるってね。もちろんミレナパウスさんはわかってただろう。でも、ミレナパウスさんには思いっきりとかちょっと足りないからね。逆にリファーちゃんは思いっきりはとてもある。むしろ後先考えずに動くところがある。
でも同時に素直すぎる所がある。まあ生まれたばかりだから仕方ないんだけどね。善悪とかさ、彼女には曖昧だろう。今回はその素直さが裏目にでた。疑うってことをしないからね。素直に「なんとかなるさー」的な? そんな気持ちでいたんだろう。実際本能レベルで時空間の力を使うリファーちゃんを止めるって普通はそうそう出来る事じゃない。
この拘束具、そしてこの場所……これはどう考えても別にリファーちゃん専用に設計されたものじゃない。普通なら、ここまでの物ってそうないと思う。それこそ力を抑える拘束具とかは「力」を認識して活用してるような世界なら、普通にあるだろう。だからそれをつけるってのはありきたりだ。そしてそれで普通は安心すると思う。
でも……この場所はそれだけじゃなく、その後にも絶対に力を使わせないっていうね。執念があるよね。この世界の……というか、この泉の人たちは何か苦い経験でもしたんだろうか? そのレベルだね。その用心が、たまたまリファーちゃんやミレナパウスさんにまで刺さってしまった……ということだ。
でも早い段階でピンチを経験させておくのはよかったよね。リファーちゃんに危機感って奴を覚えさせることが出来た。それに危機といってもこれはただの状況というか? シチュエーションが危機ってだけで、本当の危機ではないしね。どうにでも出来るレベルの危機で、リファーちゃんに学びを与えられたのがよかったのだ。
これが本当のさ……それこそ空獣との対峙中とかだったら、こんな呑気に出来ないからね。対応できる危機だから、よかった――のだ。




