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「ふむ……」


 私は記憶の中から戻ってきた。長い長い記憶だった。もちろん変化なさそうなところは飛ばしたんだけどね。それでも記憶ってやつは厄介なもので見てるとどんどんとその記憶と自身が同居していく。気をつけないと自分を見失ってしまう事態になる可能性だってある。

 直接的な記憶の観覧……それは案外危なく危険な行為だ。だって私はウサギの送った年月分の疲労が頭にきてる。本当ならそんなのは耐えられるものじゃない。私は脳を拡張してるから大丈夫だけど……普通の人間ではそれは多分許容できない。


 普通の人が普通の人の人生を見る……とかならそこまで問題にならないかもしれない。


「いや、でも確か彼にもらったデータの中に記憶の観覧が問題になったって記録もあったか」


 私はその情報を脳のデータベースから呼び出す。それは確かにあった。このG-01を作った人たちの歴史では他人の人生を追体験するってのが一時期流行ったらしい。全く別の人の人生を体験できるってことだからね。まあエンタメとも言えるかもしれない。

 映画とかは大体劇的だけど、普通はそんなのはそうそうない。まあそれを追体験して面白いのか? っていうのはある。私が見たのはウサギだったからかなりの劇的で、そしてまさに劇場版の迫力だったと言えるだろう。

 でもここで記録されてるのはそんなのじゃない。もっと普通の人たちの記憶の体験。それが流行った時は自分の記憶を金で売るということも横行してたとか何とか。進んだ技術では起こる事もすごいんだなって思った。人一人の人生なんてのは百年程度、いやG-01の世界の人たちはパーツの換装によって二百年くらいには生きてたか? 記録されてる最高記録は……それはそれは……私には想像もできないでも五百年くらいならまだいけるのかな? 人の脳はかなりハイスペックではあるし。でもリアル再現するとなったら,それだけ詳細な再現が必要で、それにはかなりの容量が必要だよね。

 私が知ってるスマホとかでもそうだ。データが重いものは高精細なんだ。そして記憶の再現には元の記憶の原型をもとに自身の脳が保管してる部分もあったりする。全ての記憶を鮮明に覚えてる人っていないだろう? そういうことだ。それを保管するためにその人の人生の経験とか記憶を使ってたりするようだ。まあウサギの場合はそもそも特殊だったし? 最初のただのペットの時の記憶は流石に曖昧だったけど、それ以降、力を手に入れて存在が昇格した後の記憶ははっきりしてる。

 けどそれって……


「あの子はこれをずっと覚えてるってことだよね」


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