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ウサギはコピーのうざきに起きた綻びを見逃さない。攻撃をせずに、ただ逃げてたウサギだけど、何もしてなかったわけじゃない。そんなに頭が良くないが、長い間いろんな力を受け入れてきたウサギだ。
その力の質とか使い方……そういうのは学習してきてた。そして神に造られたコピーのウサギたちはその力を惜しげもなく使ってくる。互いで争い、そして極限の状況での進化……それを神を狙ってたのかもしれない。
この世界を犠牲にしても、たった一つの生命が世界の外に出れる力を有するのなら……それでいい、とか? でもそんな思惑はウサギには関係ない。今のうさぎにあるのはどうしたら生み出された家族を傷つけずに、神への反撃をなすか。
神の力の影響が色濃く出てる攻撃。これはウサギにはとても脅威だった。同じ質の攻撃なら、ある程度耐性があるものだろう。でも神の力を乗せた攻撃というのは経験がない。どういうものかわからないのだ。でもだからこそ逃げに徹したのは正解だったといえる。
一撃でも喰らえばウサギでもやばかった。極限を演出するためとはいえ、神もリスクが高いことをする。
(いやでも、神にとっては失敗したらまた世界をリセットすればいいだけか。ウサギは惜しいだろうけど)
きっと神の考えなんてのはそんな程度だろう。やり直しなんていくらでもきく……それが根幹にあるよね。だから神は命と相容れないんだよ。確かに神……という立場になってしまえば、命の価値はとても軽くなるのかもしれない。世界を管理してるんだから、命の一つ一つではなく、世界という大きな目線で見るから、神から見たら命とは大量にあるもののひとつであって、ある意味で神からみたら命は皆平等なんだろう。
だって神から見たら虫の命も魚の命も、そして人の命も……それらは等しく命なんだ。そう考えるとある意味で神は平等なんだろう。だって虫の命も動物の命もいっしょだから。
素晴らしいね。神様は万民に平等というは本当だった。
ウサギは神の力を解析してる。そしてその静かな反撃の目は神の傲慢な振る舞いに届く。コピーのウサギたち。その攻撃を避け続けてきたウサギはそれをその時受けた。でも死を受け入れたわけじゃない。反撃の目を探し当てたからあえてそれを受けたんだ。コピー達の攻撃には神の力が乗ってる。
それを逆にたどって、届かないはずの攻撃を届かせる。神の力を制御。自身の力を逆に乗せて、ウサギは空にそれをうちだした。そしてそれが……世界の空を割る。砕けた先に見えるのは巨大な目でこちらを見下ろしてる神の姿だった。




