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ただの穏やかな時間さえも神は許してくれない。それに……すべての黒幕はこいつだと、ウサギはわかってた。気づいたんだ。すべての命の根源。それを求め遊んでる存在。それは神だ。世界を作る権利を有してるからって命をもてあそぶそうに運命を翻弄する神。
ようやくできた同胞たち。彼らとの穏やかな暮らしまで神はおかしてくる。何もしたくないといっても、神は許さない。無理矢理にでもこの世界を進ませようとしてくる。ウサギにとっては発展も進展も全ては呪いのように思えてならない。
だってウサギはただただ幸せを望んでたからだ。大切な人がいて、眠って起きて、食事をして……それだけでよかった。そこに発展なんてものはなかった。けどなにもいらなかったんだ。そこに確かなしあわせがあった。
むしろもう、それにしかウサギにはなかった。長い長い時間が過ぎて、たくさんたくさん中をいじられて、求められて、戦って……それによって、過去はそんなに鮮明じゃない。寧ろこの記憶が正しいのかもわからない。でも……それでもこれがウサギの思い出なのは間違いない。そして支えなのも……このままだとせっかくできた家族が神にもてあそばれて悲惨なことになるのは確実だ。
でもなんで今なのか? だって長く生きてるウサギは何度だってこの世界を終わらせることはできた。けどずっとその力を望まれないと振るわなかった。それが良いことか悪いことかなんてのはウサギにはどうでもよかったと思われる。
ただ自身の力の振るう場所を自身ではこれまできめてなかった。受け身というか? 責任から逃れてきた……ともとれる。自身がとても強大だとウサギ自身が分かってるんだろうね。だから自身が動いたことでの影響……それを考えるのはいやだったのもしれない。
てか普通に興味がなかった……が一番かもしれないけど。だってこの世界にはもうウサギの大切な人たちはいなくなったのだ。残ったのは大切な人たちを奪った奴ら。ならその時点で暴れてすべてを無に帰せばよかったわけだけど、どういうわけかそれはウサギはししなかった。
その時から、もうウサギにとっては世界なんてどうでもよかったのかもしれない。
けど神は作った。問答無用で、了解も得ず、まさに神の傲慢さを表すように、神はウサギの分身のような存在を作ったのだ。それは家族……になりえた。なってしまったんだろう。新たな家族。自分自身だけど、自分だからこそ同じ家族なんだ。
それを神は犯してきた。だからこそ、もう二度と奪われないために、ウサギは動き出したんだ。




