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神の思惑が外れた。でもそれであきらめるような存在では神はなかった。それはある意味で神の期待でもあった。世界からの脱却。それを出来るかもしれない存在になるかもしれない。その期待がこの神にはあったんだろう。
なにせ世界からの脱却……というのはいうほど簡単なことじゃない。文明が進んで技術が到達したら世界の外を目指す。簡単にそう考えるかもしれないが、そんな所まで文明を導くのは難しいものなんだろうって思う。
たぶん神はそんなに干渉をしない。どうしてかは知らないが、結構自然に任せてる節がある。もっとめっちゃ干渉して、知識を段階的にでも授けていけば、もっともっと文明が簡単に発展すると思う。確かにそうしたら独自性? 的なものはなくなるかもしれない。
与えられるものって、つまりは誰かが考案したものだからね。それを神が与えていったら、その文明は結局は神が前に作った文明の物であって、その末路も神はしってるのかもしれない。だからこれじゃあだめってわかってるのかも。
だから神は何度も何度も作るうちに、文明の多様性を求めてるのかも? だからこそ生命の自主性? ってやつを尊重してる。でも今は神も悠長にやってる場合ではない。なにせ、世界の外には空獣という化け物がいる。
神でさえも太刀打ちできない、世界を食べて滅ぼす存在。それをどうにかするのは神たちの至上命題だ。だからこそ、強い存在が必要。このままじゃダメだって神も思ったんだろう。てかそれを考えたら生命が争い続けるのって……争いは行き過ぎたら滅びに突き進むことになるが、その間に技術は飛躍的に進歩する。
それは今までの世界の歴史がきっと証明してるだろう。与えることはできない。ならば発展させるしかない。でも悠長に待ってる時間はない。神はそんなに世界に干渉はしない。でも……生命を生み出してるのが神なら、そもそもが生命が争い続けるように設計することだって……出来るよね?
つまりはこの世界の生命は元から永遠に争い続けるように設計されて生み出されてたかもしれないってことだ。でもウサギはきっと度重なる残酷な仕打ちと改造、それにその身にある膨大な力によってその制約を書き換えることができたかのもしれない。
魂の内部ともいえる場所にまで刻まれた神の思惑。呪いといっていいそれを、ウサギはいつの間にか克服してたのだ。でもそれじゃあこまる。だから神は……さらに何かをした。




