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 世界を旅してると、少しずつ家族が増えていった。打ち捨てられてた自身の肉体から作られたクローンたち。それを集めていったウサギ。空しかった旅は、いつの間にかそんなのを忘れるくらいににぎやかになってた。

 だからそろそろとどこかにゆっくりと住み着くのもいいかもとおもった。ウサギたちは別に家なんて必要ない。ただ地面に穴を掘れればそれでいいのだ。それならこのなにもない世界でも寝るところには困ることはない。

 それでゆっくりとする。それでよかった。でもそんな適当な定住の地に何十年と住んでた時、それは現れたのだ。天からやってきたそれは……神。意外だったけど、どうやら神からウサギに接触をしてきたらしい。


 そして神は告げる。


『その強靭な命を進化の礎にしてほしい』


 ――とね。ウサギはなんのことやら……である。けど私はわかる。そもそもが世界を神が作る理由。それはもちろんだけど自身の力を高めるためでもあるけど、今は空獣をどうにかしたいと考えてる神も多いだろう。

 なにせせっかく時間と力を使って世界を作っても空獣がやってきたらすべて終わりだからね。それをどうにかしたいがために、今は神が強い存在をどうにか作れないか? と試行錯誤してるらしい。ここまで生き残ったウサギにここの神は何かを見出したとしてもおかしくない。

 でも問題があった。だって度重なる体の酷使、そして様々な改造によってウサギにはすでに生殖能力はなかったのだ。まあ神ならどうにかできそうだけど……てかどうにかした。けどそれは神らしいやり方だったといえる。


『とりあえずこれくらいでいいか』


 そんな風にいって消えた神が何をやったのか? それは簡単で単純で、そして厄介なもの。ウサギに生殖能力を戻す……とかじゃなかった。それは今のウサギと同じ存在を同時に複数体……具体的には100体くらい増やしたのだ。いわゆるコピーである。


 ほんと、神らしいよね。それでいいって思ってるところが最高に『神』らしいって私は思った。当然、それからどうなったかというと? 混乱が起きるよね。なにせ同じような存在がいきなり100体増えたんだよ? これで何か起きないわけもなく……とかなるだろう。

 それに何かか起きると神だっておもっただろう。『人』ならそれが起きたかもしれない。だって人は多くなればそれだけ争いが起きる確率は跳ね上がる。たとえそれがまったく同じ『自分』であろうと、同じ方向を向けるとは限らないからだ。


 けど神の思惑は外れたようだ。どういうことかというと、ウサギたちは何もすることがなかったからだ。せめて少しくらい意識とか感情モジュールとかをいじってたら違ってたのかもしれないが、完璧に同じように作ったウサギは誰一人として、事を起こすことはなかったのだ。

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