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まあ耳を絡ませるなんて普通の人間には無理だ。だって耳って側面にちょんってついてるだけのものだからね。それを絡ませる? いやいや無理無理。もしもやるとしたら、頭を極限までくっつけてピタッとしないといけない。
そんなの恋人とか夫婦とかさ……そんな距離感の相手にしかできないだろう。けどそんな距離感の相手にだってやらないよね。だって耳だよ? 人間は別に耳を合わせあって親愛の情を確かめ合うなんて風習……もしかしたらどこかにあるかもしれないが、私はそんな事しないからね。
もしかしたらウサギにはそういう習性が? 聞いたことないが……それだけ耳が特別……というのはわかるけどね。なにせやっぱりそのピンとなった大きな耳は目立つしね。私たちの耳とかよりも、よっぽど動かしやすそうではあるし。
とりあえず私の作戦は成功したんじゃないだろうか? だってウサギな彼女がその耳を絡めさせるほどだよ? そんなの勇者にもやってないよ? まあ勇者には長い耳がないから……かもしれないが。とりあえず私は白ウサギを通じてウサギな彼女にシールを貼ってもらうために、白うさぎにシールを咥えてもらう。
えっ? どこから出したのか? そんなのあれでもドローンだからね。やりようはいくらでもある。まああの白ウサギの機能ではないけどね。私が口元にシールを転送しただけだ。それを咥えてもらった。
「キュッキュッ!」
かわいらしい声でウサギな彼女がシールに気づくようにする。口はシールで塞いでるのにかわいい声が出るのはおかしい? そんなのは機械である白ウサギにはなんら関係なんてないのだ。白うさぎが主張したおかげでウサギな彼女も咥えてる物にきづいたようだ。
すると彼女はその顔を差し出してくる。わざわざ前髪もあげてるし、これは貼っていい――ということだろう。それなら遠慮なく。私は白ウサギに命令を出してシールをウサギな彼女に貼りにいかせる。
そのつぶらな瞳が内部でジジジ――と動いて狙いを定める。そして少しチョコチョコと動いて、そして後ろ脚をカリカリと動かして、わずかに脚力で飛び上がる。でもそれだけだと全然届かない。でも……肉球から露出した小さな噴射口が白ウサギの体を空中で保持する。
ふらふらして安定してないが……それでも大丈夫。十分なはずだ。おい、あれがウサギか? とかいう突っ込みは受け付けない。だってあれは見た目かわいらしい雪うさぎだけど、中身は完全なロボットだかね。
少しは仕込んでるよ。でも実際あれくらいだよ? ドローンのようになんでもできるような機能はない。まあ周囲のデータを観測するくらいはできるけど……本当にそのくらいだ。そんな白うさぎはふらふらとしながらもウサギな彼女の頭まで昇っていき、口を突き出して借り貼りをして、そのあとに頭をくりくりと押し付けて本貼りを済ませた。
まあ綺麗には貼れてないよ。正直に言えばね。でもそのかわいいしぐさを見れたからまあいっか……と思えた。やっぱりかわいいって得だよね。




