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「それなら……」
私はエネルギーをちょっと使うことにした。今やドローンたちはこの船にある工業区画のラインで日々作られてる。どうしてそんなに必要なのか? と思うだろうが、いろんな世界へと飛ばしてるからだ。無数の世界があるんだからね。その情報を収集するためにも、いくらドローンはあっても足りないの。
今までは次に行く世界にドキドキワクワクしてその先に思いを巡らせるしかできなかった。でも今は違う。先の先の先の先……くらいまで見据えるようになったといえる。それに……世界にたくさんのドローンを送ることでもしかしたら空獣の行方の特定ができるかもしれない……という期待もあるんだよね。
まあそれは別の話だろう。今はこのかわいげが少しもないドローンをどうするか? だ。
「もともと私もちょっと不満だったんだよね」
なにせ無機質すぎる。まあ機能性なら文句はないよ。てかこのドローンは機能性を追求した機能美ってやつがあるのは確かだろう。無駄を極限までそぎ落としたって感じだもん。無駄な装飾なんて一切必要ないって割り切りがみえる。
これが好きな人もいるんだろう。私も別に嫌いではない。でもちょっと無機質すぎるっていうか? 自分だけならこのままでも別にいっか? とか思ってた。いや大体のドローンはこれでいい。でもウサギな彼女の警戒心? を解くにはこの無機質な姿ではだめなのだ。ならどうするか?
「猫とか犬とか? そんな感じの姿にするか? いや待てよ」
私はエネルギーを使って独自に一体のドローンを創造しようとしてる。一体くらいなら簡単に創造できる機能がG-01にはある。それにドローンなんてG-01にとっては自身のパーツくらいの大きさだからね。
ドローンはシンプルイズベストでその機能に全振りしてるから見た目に反してとても多機能だし、さらにはモジュラータイプでいくらでも後から継ぎ足すことかできるようになってる。でも今創造するドローンにはそんなのは必要ないだろう。
むしろここで必要なのはかわいらしさ全振りだ。そこで私は考えた。かわいい――をね。この場所……このコクピットで目覚めてこの方、私は自身にかわいらしさなんて求めてなかった。だってそんなの求めても仕方なかったしね。誰に見せることもできないし? そもそもG-01にはかわいらしさ? よりも格好良さが似合うのだ。そっちを追及したほうが私自身テンションがあがったしね。
でもここは自分の女の子らしさを前面に出すところだろう。一般的なかわいらしさってやつを考えたら真っ先に子犬や子猫とかが出てくるだろう。でも私は思った。彼女の見た目……そう彼女はたぶんベースはウサギだ。
なんかごついし……ウサギ要素はそのモフモフさと丸っこさ、あとはその耳しかないが……でもウサギだと思う。なら……
「キュッキュッ!」
私はちっこいまん丸の雪ウサギ型ドローンをウサギな彼女の前に送り出した。




