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 無数の目と無数の手が迫ってくる。それこそ隙間なく……と言っていいほどの密度で、それを無理やりこじ開ける事ができる力がないと……前に進むってこともできないくらいだ。


「なんか、向こうの動き……だんだん洗練されている?」


 そこはさすが神の代行者ってところなのかもしれない。最初はそれこそ個々って感じだった。沢山いたとしても、その力をそれぞれ勝手にぶつけてきてる……みたいな? まあ流石に直接的に横の奴を邪魔とかしてるわけじゃないけど、結果的にじゃまになる……ってことがおこってたといっていい。

 そしてそれは隙だ。そしてそれを見逃す私たちじゃない。向こうの隙が多いほど、そこには付け入る事ができるってことだからね。勇者やアイがそれを見逃す? ないない。だからうまく進んでこれた。


 あと1キロって所かな? ウサギな彼女なら、数秒でつくだろう。私は最期の調整にはいる。止まる必要なんてない。


『そのまま穴に飛び込んでください!』


 そう伝えておく。


「あれに! そのまままっすぐ!」


 見えたんだろう。銀の塔の上に開いてる不可思議な穴。勇者はそれにまっすぐに進めとウサギな彼女にいった。実際、塔と言うほど立派なものじゃない。急造したものだしね。でも空間を開いてつなぐだけなんだから、それでいい。それに安定して定着させるひつようだってない。

 不安定でいいのだ。だってあの場所にあの穴を定着させたら、私たちのこの本船へと神の代行者だって入ってこれることになる。だから三人が入ったらすぐに閉じないといけない。


 それの調整もしないとだめだ。今は無理矢理に干渉してあの穴を開いてるわけだからね。それに時間を設定して、うまく三人が飛び込んだ直後に閉じるようにタイムリミットを設定する。

 10秒あればいいかな? 20秒くらい必要? いやここは切り詰めて5秒なんてどうだろう? 1秒後にウサギな彼女で3秒後アイ、5秒ジェストで勇者という計算だ。厳しいか? いやいけるっしょ。私は軽い気持ちで――「あと5秒です」――と伝えておいた。

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