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「そんなことないよー」

「そうだよージーしゃんはいい人だよ。人?」

「「「そうだそうだ」」」


 ジーしゃんと言うのは勇者がジゼロワン殿って言ってるのも子供達が聞いて、なぜかジーしゃんと呼ばれるようになった。まあそれは良い。案外可愛いし。それよりもあの子である。眼帯の子は昨日も……というかずっと私に石投げてくるんだよね。まあね、あの子はあのサソリ方の巨大な砂獣によってお亡くなりになった。私の対応はとても早かったわけだけど、被害がゼロだったわけじゃない。不孝にも、あの砂獣が現れた瞬間に彼女の両親は彼女を守って旅立ってしまったんだ。


 あの子も私のせいではないと……分かってるとは思う。でも、朦朧とした意識の中でも私の戦いを見てたようで、あれだけ大きな砂獣を倒してみせた私に対し、何故にもっと早く来てくれな語ったのか……どうして自分の両親を助けてくれなかったのか……そんな思いが溢れてしまってるんだ。あんな小さい体に、沢山の悲しみが溢れてる。私は大きいからそんな悲しみを受け止めることくらいはしてあげよう。まあ同情はするけど、一切自分に比があるなんて思ってないけどね。

 どこにもぶつける事が出来ない思いを、結局の所は一番強いと思われる私にぶつけてる。私は強いからそれでもきっと大丈夫と思われてもいるのかも知れない。でもあの子もこのG-01の中に私の様な女の子がいるなんて分かったら悪い子としてたと思うかも知れない。でも教える気は無い。そもそも勇者達だって知らないし、信じてくれるとも思えない。ポニ子がまともに喋れればね。そう言う事も言えたかも知れないが、ポニ子は残念ながら「ポニポニ」しか言えないのだ。


「だってそいつは! 私のお父さんとお母さんを守ってくれなかったもん!!」

「それは……」

「でもそれは……」


 他の子供達は私を擁護しようとしてくれてるけど、親のことを言われるとね。流石に子供では論破とか出来ないし、して良いわけでもない。どうしたらいいのかな? 今までは彼女が気が済むまで石に当てられ続けてた。別に痛くないしね。でもなんだか毎日来る度に、彼女はやつれてる様に見える。病は気からと言う。彼女の場合は病気じゃないが、このままじゃあ病気になってもおかしくない。

 これ以上放っておくのも気分悪いしね。彼女の両親だって、きっといつまでもこんな状態の彼女だと心配して天国とかにいけないだろう。彼女を死んでも守ったのは、彼女の未来のため。それもきっと幸せな未来のためだ。このままずっと鬱々とした日々を過ごさせるためじゃないだろう。


(でもどうするか?)


 ここでの私は喋れる設定がない。夜には勇者や魔王相手に喋ってる。なにせこの世界では夜は完全に人々が寝る。それば文字通り完全に世界中の人々勝手意味だ。だから誰かに聞かれるなんて心配も無いからね。べつにここで喋ってしまっても別に良いんだけどね。そこまでこだわってる設定でもないし。てかなんかいつの間にか喋れないキャラになってただけだ。けどここで私が喋って言葉を紡いでも彼女に届くか? 言葉は便利だけど、だからこそ心をダイレクトに打つには色々と段階という物が必要でもある。私にはその段階がないし、悠長にそれをやってる気も無い。なら……


「ふえ!? きゃあああああああ!?」


 私は手で眼帯の彼女を捕まえた。そして立ち上がる。めっちゃ腕の中で泣いてるけど、ここは我慢して欲しい。てか痴情にいる子達も「許してあげてー!」とか叫んでるけど、私が怒ったと思ってる? 違うよ。ショック療法をするだけだよ~。と言うわけで立ち上がり、私は上を見た。熱そうな太陽が輝いてやがる。


「ちょっと行ってみるかな?」


 私は足下の子供達に離れるように手で指示する。なんとなく理解してくれて皆離れた所で膝を曲げて力を溜める。ギュルギュルと膝関節部分が回転エネルギーを内部で溜める。そしてそれを解放して私は地面を陥没させることなく、消えるかの様な速度で空へと射出した。


「あぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」


 今にも魂を吐き出しそうな声を上げてる眼帯の子が五月蠅い。せっかく私が両親のところに案内してあげようって思ってるんだからしっかり見ときなさいよ!!

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