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「私も巻き込もうなんて……残念。私は怒りに支配されたりしないから」
そんな風に私は世界に張り付いてる神に言ってやる。まあ聞いてないだろうけどさ。あの神は哀れだ。その心は怒りに支配されてはっきり言ってあれはもう……
「神じゃない」
――私はG-01の内部にある情報を検索してみることにした。だって以前の曖昧な記憶。そこには神の下には天使がいた。そして堕天というのがあったじゃないか。それは光であるはずの天使が悪さをして天使から悪魔に落ちる……というものだ。神の国から追放されてしまうのだ。
堕天があるのなら堕神があってもおかしくなくない? と思った。そう、あれはもう堕神した神なのかもしれない。そう思って私はG-01の中の情報を確認したのだ。もしかしたら同じ事例があるかもしれないじゃん。そうすると……
「あった」
もしかしたらあるかな~ってノリだったんだけど、あった。どこかの世界。そこの神はどうやら堕神
して自身の世界を破壊して、その影響は大きな混沌へとつながったらしい。周囲の世界数十を巻き込んでとても大変なことが起きた……と記録にはある。
まあG-01の中では堕神とか言われてない。別に特定の言葉がそれについてるわけじゃないっぽい。事例も少なそうだしね。これが何回もあったなら、神が落ちて暴走することに対して何か特別な言葉がつくんだろうけど、そこまでではないってことなのかも。
まだね。
「結末は……」
これでもしかしたら神を正気に戻す方法とかわかるかも……と思った。だって明らかに今のあの神は正気じゃない。だから暴走した神をもとに戻す方法があれば参考にしよう……とおもったけど、かつての神の暴走の果ては悲惨なものだった。
暴れた神と、それに巻き込まれた世界はすべからく崩壊しました。それが結末。神はどうやら討伐……されたようだ。これは落ちた神は正気を取り戻すことはない……ということ? そうなると……神の事はあきらめた方がいいのかもしれないね。
私たちの目的はサンクチュアリだ。それを持ってる存在もすでに確保してる。ならば……
「これ以上正気を失ってる神を刺激しても意味ないか」
そんな風に考える。それに再び厚い雲に覆われて、神はあの半端なウサギちゃんを見失ってると思われる。それならさ……
「今のうちに本船に移しちゃおう」
それが一番いいのではないのではないだろうか? そう思えた。




