103
ヒュッヒュッヒュッヒュッ――
そんな風切り音? みたいなのが一瞬聞こえたと思ったら、シールドを持ってるはずのドローンたちが一斉に大破していく。
「むむむ、違う攻撃方法を取ってきたか」
まあそうなるよね。大丈夫、まだ焦るような時間じゃない。バリアは何をやっとるんじゃい! と言いたいが、まあ化け物じみてても神の攻撃となると……ね。どこからくるかわかんないビーム的な攻撃のほうが強そうではあったけど、こんどの攻撃は物理よりみたいだ。
つまりは何がドローンにささったのか……それはやつのあのワッサワサとしてる髪の毛みたい。やつのガリガッリの腕と足は世界に張り付くために使ってるからね。でもその頭の以上とも言える赤い髪はそれこそ遊んでるわけで……それを使うというのは合理的と言えるだろう。
その真っ赤な毛を飛ばしてきた……と見るのが正しい。けどこっちもかなりもう学習してるのだ。確かに初見は交わすのが難しかったが、そもそもがどうやらあの神はあの赤い髪の毛を的確にドローンに向かって放ってる……というわけじゃなさそう。寧ろ無差別……といっていい。まあだからこそ、ドローンたちも当たったといえる。
だって今のドローンたちは予兆を察する事ができるのだ。なにせさっきまでのビーム? はどこからくるかわかんなかった。だから空間のちょっとした異変。それを感じ取って事前に察する……ということがこれまでのデータでできるようになってた。
実際『なにか来る』というのはドローンたちは察してたと思う。でも今回は正確な攻撃ではなく、ある意味で全方位に無差別にばらまく攻撃だった。だからこそ、『予測』を優先してたドローンはその対象のあまりの多さに一瞬フリーズしてしまったみたいだ。
そこに運悪い機体があの神の髪の毛の餌食になった。でも無差別に放っただけだったから、もちろんだけど無事なドローンもあるのだ。更に投入することだってできる。でも……
「新しいデータを更新! なるほど、あの髪の毛、どうやらシールドを中和してるみたいね」
私はやられたドローンたちからもデータを回収してその死にも意味を持たしてあげる。死という結果がもたらしたデータ。まさに私達に無駄死になんて言葉はないのである。そして得たデータで全てのドローンを素早く更新、バリアも遠隔だけどちょっと構成を見直して、あの神の髪の毛の中和成分を考慮することで、一秒くらいは耐えられるでしょう。
そのくらいまですると、再びドローンがやられることはなくなった。そんな攻防を私達は何回か繰り広げる。どっちの手が先に尽きるのか……その勝負だね。




