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「強い……やっぱりサンクチュアリ?」
私は色々と勇者とアイの戦闘を観察しながら、ドローンたちを使って色々とデータを取ってるんだけど……
「また……」
モニターが砂嵐になる。それはつまりはこの映像を送ってたドローンが潰れされたことを意味してる。さっきからそうなんだよね。どうやら戦闘中にも関わらず、ちゃんとあの半端なウサギ人間みたいなのは監視してる目にも気づいてるらしい。
勇者とアイを二人同時に相手してるというのに、まだ他にちょっかいをかける余裕があるとか、かなりやばい。
別に勇者たちだって遊んでるわけじゃない。確かに節約しながら戦ってはいるが、だからって弱くなってるわけじゃないからね。それなのに……そこそこ離れて監視してるドローンを適宜つぶしてるんだから、恐ろしいよ。
「まあけど、無駄だけどね」
なにせドローンはいくらでも生み出せるといっていい。だから別に消費を気にする必要ないんだよね。沢山のドローンを犠牲にして解析した結果、あの存在はほぼサンクチュアリで間違いない……という結論に達した。
私がちょっと前にみた沢山の二足歩行のウサギはどうしたんだろうか? 勇者達が倒しつくした? でも流石に……めっちゃ多かったあの数を倒すには早いような気がする。
それに……
「地形もそんなに変わってないしね」
実際出来るかできないか、で言ったら勇者とアイになら殲滅くらい出来るだろう。でもこれだけ早く……となると、それこそ大量のエネルギーを使った攻撃……って奴が必要になると思う。
それすなわち必殺技……的な大規模な攻撃だ。一体一体を丁寧に相手にしていくことも勇者には出来るだろうし、アイだって銃の特性を生かして遠距離から的確に相手の弱点を打ち抜くなんてこともできると思う。
でもそれをずっとやっていくか? と考えたら、勇者はともかくアイは「煩わしい! 最大出力で蹴散らすわよ!!」――とか言いそうである。
けどそれをやったとなると、流石のこの吹雪の世界にも焼け跡……みたいなのは残る筈だ。だってアイの銃も勇者が聖剣を開放したんだとしても、その攻撃には大量のエネルギーが乗る。
それによって何が起きるのかというと、巻きこれまた存在は跡形もなく消し飛ぶわけで……そうなるとその跡が残るのは必然だ。けど、その痕跡は見えない。
そうなるともしかして……
「あの超大量のウサギたちが合体した姿があれってこと?」