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亀人間とのセッションが終わったリファーちゃんはとてもやりきった……みたいな感じで汗を拭う。リファーちゃんの手は別に赤くなってるでも、内出血を起こしてる……とかでもない。まあそれはそうだよね。
だって……だ。だってリファーちゃんは時空間の申し子である。時間と空間の扱いに関しては感覚でできてしまうのがリファーちゃんだ。ダメージを受けた? そんなのは時間を巻き戻すことで解決である。
流石に連続して大ダメージを受けるとか、致命傷を受けると感覚派のリファーちゃんでもその力を使えなくなるが……けどそもそもが空間を自由自在に移動できるリファーちゃんに致命傷を与えるというのがそこらの存在には難しいからね。
「えへへ、やったよお姉ちゃん!」
「うん……うん? そうね」
なんか納得できてない感じのミレナパウスさんである。私もなんでセッションしてたのかわかんない。一応時間稼ぎにはなったのかな? とは思うけど……これからどうたらいいのか……だよね。
リファーちゃんはあれだけ激しいセッションをしたというのに、汗をかいただけでる。けど亀人間たちは燃え尽きてる。いや燃え尽きてるだけなら別に放っておいてもいいだろう。けど……彼等は負傷してるのだ。
だからこそ、ミレナパウスさんは困ってるんだろ。だって彼等の存在というか立場? がどっちかわかんないからだ。一応敵なのか? 味方なのか? だ。はっきり言って今のセッションではどっちかなんて判断できない。
ミレナパウスさんなら彼等をもとに戻すなんて簡単だ。でもそれをやっていいのものか? と葛藤してるんだろう。
「皆大丈夫かな? おーい」
リファーちゃんは自分が無事だから、亀人間たちもそこまで……と思ってるのかもしれない。でもそうじゃない。リファーちゃんは自分がどれだけ特別かわかってない。まあ回復魔法とかあれば、きっともっと違ったと思う。
それか超強い体をもってるとかさ……実際彼等は亀人間だ。亀って防御力が高いってイメージが有る。まあほとんどその甲羅の防御力なんだけどね。でも彼等はその防御力が高い部分を使ってなかった。
まあ背中にあるから、彼等自身では甲羅を叩く……とかできないのはわかる。もしも甲羅を楽器代わりに使う……となると、二人一組体制になるしかないだろう。一人が四肢を引っ込めて甲羅をむき出しにして、それをまるでドラムとか太鼓のようにもう一人がたたく……という体制である。
でもそれなら、ああやって白目を向いて、泡を拭いて倒れることはなかったと思う。
「ミーお姉ちゃん! お願い、助けてあげて!」
そういって手を合わせてお願いしてくるリファーちゃん。どうやらセッションを通じて、リファーちゃんにはなにか通じるものがあったようだ。




