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「これは……ジャルバジャル……なのか?」


 俺はそう思ってジャル爺さんの方をみる。するとジャル爺さんは泣き崩れていた。


「おお……我が街が……地に沈んだ筈の我らの街が戻って……戻ってきたのじゃ……」


 その様子に俺達は何も言えない。まあこんな風になるよな。なにせ一度は砂の下に沈んだんだ。それがこうやって……戻って来た。


「まるで、砂が綺麗に消え去ったみたいだな……」


 俺はそんな事を呟いて、手近な建物の扉を開いてみた。すると、そこはまるでついさっきまで人がいたかの様な……そんな状態だった。砂で全てが汚れてる……なんて事はやっぱり無い。実際この街は砂の下にあった。なら、全てに砂がついてておかしくない……というかその筈だ。でもそんな形跡は一切無い。これは……砂が引いたとかじゃなく、消えた感じ。


「砂……か」


 この世界は殆ど砂みたいな物だ。その砂はどうやらただの砂ではないみたいだ。いや、一度調べたりしたが、砂自体には何の力も無かったのは確認してる。でも砂獣はは砂のなから生まれてくる。なにか……砂自体にあるんじゃないか? 


「ちょっと気になる事がある」


 そういって俺は地面を蹴った。ジャルバジャルの地面は舗装されてて、砂とは比べものに成らないくらいに力が伝わる。まあだからってせっかく復活したジャルバジャルを壊しはしないけどね。とりあえず俺はジャンプして周囲が見渡せるくらいの高さを確保する。


「やはりか」


 ジャルバジャルは砂に埋もれてたから、この街が姿を現したって事は、砂が引いたのか、盛り上がって来たのか……とか思ってたがどうやらどっちも違う。もしも盛り上がって来たのなら、どの道太陽に近付くことになるし、砂がジャルバジャルの所だけ引いたのなら、上がってる砂はそのままで、周囲の砂が壁の様になってるはずだ。けど、ジャルバジャルの周囲に砂の壁はない。そしてジャルバジャルにも砂はないわけで……これはもしかしたら、世界の高さがジャルバジャルが埋もれる前に戻ったんじゃないか? この世界は砂に浸食されてるらしい。それを進めるきっかけは多分街に都市核がどっちに傾くか……何じゃないか? 砂獣に奪われると、世界の砂が上がり太陽へと近付く。そして取り戻せば、その分下がる。


 今まで取り返した事なんか無かったから、この世界は絶えず太陽に向かって進むしかない時限の世界だと人々は悲観してたが、もしかしたら、そうじゃないのかも知れない。


「これは希望かもしれないな」


 俺は、そんな事を呟いて地平線を見つめた。

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