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「なんと……」
私もリファーちゃんと同じようにちょっとびっくりしてた。だってこれってつまりはあれだよね? ミレナパウスさんは葉っぱに通ってたこの世界の力……この世界の法則の力を解除したんだ。
まさかここまでミレナパウスさんが成長してるとは……ちょっと感慨深い。だって私たちの中で一番弱っちい事を気にしてたミレナパウスさんがこんな事を出来るようになってるなんて……
実際、今のはそんな簡単に出来る事ではないような……私は二人から離れたドローンを使ってやってみる事にした。もうさっき一度不死性を取り除く時にこの世界の法則を解除してる私である。
できないはずはない。だからまずは別のドローンを使ってこの世界と切り離して……
「いや待って、ミレナパウスさんはそんな事やってないぞ」
私は一人、そんな風につぶやいた。そうだった。私もさっき見てたけど、ミレナパウスさんは別に不可視の結界を実は作ってて、それで世界と葉っぱを隔絶した――なんてことはやってない。やってないのだ。
これは録画を見返しても結界とか使ってないのは確認済みだ。ならば一体どうやって? 私は頭をひねる。だって私が出来ないことをミレナパウスさんがやったの? それはとんでもないんだけど……
「おおー、ふにゃふにゃになった!」
リファーちゃんは葉っぱらしい柔らかさになった葉をミレナパウスさんから受け取って確かめてる。
「てもこれじゃあ、武器にならないよ。使えないね」
最終的にポイってすててる。リファーちゃんの基準では武器になった葉っぱの方が使えるってことなんだろう。まあ確かにそうだけど……ただちぎった葉っぱなんてゴミではある。使い道なんてないだろう。それなら武器になった方が幾分かましかもしれない。
でもそういう事じゃないらしい。
「武器に出来るのは持っててもいいですけど、これをあなたもできるようになりなさい」
「ええーなんで?」
「これでこの場所の厄介な力を解除できるかもしれないからです。これは良い練習になります。いつまでもジーゼ様の手を煩わせるんですか? 私達だけでやれないと二人だけで来てる意味がないじゃないですか。
私達だって勇者様やアイ様がいなくてもできるってところを見せましょう!」
「そうだね! 負けらんないもんね!」
ミレナパウスさんの言葉を最初の方は嫌そうに聞いてたけど、後半は納得いったようだった。別にこれは競争とかじゃない。そんなのはいってない。けど、二人ともきっともっと成長したいんだろうって思った。




