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『美味しいですか?』

「うーん、まずい! 口の中ミューってなる!」


 ミューがなにかは正直わかんない。渋いとかそんな感じかな? でも不味いんだ。私的には美味しい! というのかなって思ったんだけど。だって今も食べてるし。もしかしてリファーちゃんは別に物の美味しさに頓着とかしてない? まあ生まれたばかりだし、元はメタリファーだったわけで、概念的なメタリファーが食事を取ってたとは思えない。


 つまりはリファーちゃんには食事で満足を得る……という感覚は別にないのかもしれない。不味い言いながらバクバク食ってるし。いやでも食い意地はあるんだよね。でもそれはそっか……


『肉体をもったから、消費するエネルギーは補給しないといけないもんね』


 それを思うに別にリファーちゃんが味には頓着してないのに食い意地だけ張ってるのは別に矛盾することではないかもしれない。だってお腹が減るのは生物なら当然のことだからだ。でもリファーちゃんに取っては初めての体験だから、そういう物……と思える経験がないんだろう。だってリファーちゃんはある意味で始めての体験ってやつなんだ。


 そこらの命なら、ずっと続いてきたといえる。輪廻転生でもいいし、遺伝子に刻まれてる……といってもいい。前世とかは覚えてなくても、命として世界を回ってるのなら、きっと生物は覚えてることってあるんだろう。生きるために必要なこととか、本能とか……そんなのだ。何が大切か……そんなの。

 けどリファーちゃんにはそんなのは一切ないのだ。だって初めての体だから。だから抑制とかきかないのかもしれない。


「美味しくないのなら残していいですよ? お腹いたくなったらどうするんですか?」

「でも、残したら悪いかなって。それに喉をニュルンって通るのがいい感じだよ」

「ニュルン?」


 ミレナパウスさんが首を傾げる。私もリファーちゃんの独特の感覚はよくわかんない。つまりは味はまずいが、喉越しはいいってことなのかな? でも私的には不味いのはそもそも口に入れたくないんだけど……今のリファーちゃんは喉越しのためにこの果物を食べてるってことになる。


「食べてみる?」 

「それではちょっとだけ」


 手品みたいに手首をくるっとすると銀製のスプーンがミレナパウスさんの手に現れた。そしてそれで果物を掬って恐る恐るの感じでちょっとだけとって口に持っていく。スプーンの先端だけをパクっとするミレナパウスさんがなんか艶めかしい。

 けど次の瞬間、眉を八の字に曲げてまさにまずそう……な顔してた


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