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「ジーゼ様、分析してもらっていいですか?」

『はい。ふむ、危険はなさそうですよ』

「だそうです」

「わーい!」


 リファーちゃんが真っ二つになった果物にかぶりつく。一応糖度とかも測ってたけど、果物相当の糖度はあった。だから甘くはあるだろう。味は知らないけど……てか私はあんまり食べ物……に関心を持たないようにしてる。

 なぜかって? だってここでは食べられないからだよ!! ここには不便なんてほぼないが、一番の不満は食事がない事だ。私は普通の人間じゃない。だから食事をしなくても死なない。そもそもが排泄物とか最小限にするために私の体はそういう設計なのか、改造なのかされてる可能性もある。

 内臓がどうなってるのかとかわかんないしね。普通に生きてるが……それは私がここの機械に繋がれてるから……だ。ここから離れたら私は生きられるのか正直わからない。不便ではないが、欲求とかないわけじゃないし? 特に人が持つ3大欲求とかいうもの? 睡眠欲はまったくない。性欲……もほぼないといっていい。

 それに世界でそういう事をやってる人たちがいたとしても、それを覗き見できたとしても私はちゃんとモラルってやつをもってるのだ。だから見ることだってしない。そうなるとさ……湧き上がることもないし? まあ一番興奮するのは自分の身体だよね。なんたって美しいからね。それで十分になってしまう。

 けど……だ。けども! 食事となったら皆普通にするし、別にこっちも目をそらすべきことでもないじゃん。となると、食事風景って一番身近なんだよね。だって普通は生物には食事が必要だ。だからこそ、皆さん普通に食事をとる。それは別に悪いことなんてない。普通のことだ。

 生きることに必要なんだからね。でもそれが……一番こっちの欲求を刺激するよね。肉が焼ける音とか、湯気がでてる熱々の食べ物……そしてそれを頬張る姿……すべて悪い。目に毒である。

 それに想像できない食べ物とかさ……どんな味するんだろう? って思うじゃん。リファーちゃんはお手々がベタベタするのいとわずに手を突っ込んで実をくり抜き口に運んでる。そしてモッキュモッキュ――と食べてて口の端からは果汁がでてた。こいつ……美味しそうに食うな。てか美少女だからそのきたない食べ方でも絵になってるが、もしももっと汚らしい見た目だと私の食欲は減衰してたかもしれない。

 でもリファーちゃんは私と同じ見た目で美少女なのだ。私と同じ見た目の存在があんな美味しそうに食べてるのをみると……


 ぐー


 ――と何故かこっちのお腹が鳴ってくる。


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