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そんなことよりも、サンクチュアリを探すのが先決です……と私は冷静に二人に言ってあげる。興奮してる二人だけど、そこは精神性の成熟差の差なのか、ミレナパウスさんはちゃんと私の言うことを聞いてくれる。けどリファーちゃんは私の使った力の方が興味あるらしい。「もっと見せてーもっと見せて―」――とドローンに対して空間移動してシュパシュパとせまってくる。
鬱陶しい……なにせリファーちゃんにとっては距離なん意味はなく、空中だからって、すぐに近寄れる。
「ねえねえねえねえねえ」
「どうやったの? どうやったの? どうやったの? どうやったの?」
そんな小さな子供のような「ねえねえ」攻撃である。実際見た目的にはリファーちゃんは私と変わらない年頃の女の子ではあるけど、その精神年齢はまだまだ幼い。てか生まれたばかりだ。だからこそ、これも仕方ないのだろう。いろんなことに彼女は興味津々なのだ。なにかちゃんと教えないとリファーちゃんは興味をなくしそうにない。こうなったら……
「仕方ないですね」
私はとりあえず難解なマニュアル部分をコピーした。そしてそれを機会音声でドローン越しに再生することにした。これなら私の労力はゼロである。しかもリファーちゃんの願いはちゃんとかなえてるっていうね。何もごまかしてなんてないんだから私は胸を張ってこういうよ。
「今から説明しますが、ちょっと長いですよ」
「うん!! ………………………………もういい!」
早かった。私がコピーした内容を機械音声でドローン越しにリファーちゃんに聞かせ始めた。そして30秒も経ってなかっただろう。リファーちゃんは機械音声にめをぐるぐるさせてにげてった。
「ふう、ごめんね」
本当ならもっとかみ砕いて説明してあげるのはひつようなのかもしれない。だって私が毎回こうやって『死』を与える? その世界にいない私が? それよりもその世界、現地にいるリファーちゃんやミレナパウスさんがやれた方がいいのは間違いない。リファーちゃんは空間を自由自在に操れるし、それは時間もそうだ。だから実際、できそうな気はする。ミレナパウスさんは……この世界を隔絶させる――というのはちょっと難易度が高いかもしれない。
けど……どちらも一人だけではちょっと厳しいかもしれない。それこそ勇者ほどに強大な力はミレナパウスさんはもってないし、リファーちゃんもアイほどに精密な力の使い方はできない。だからそれを埋めるとなったら……
「二人でできるようになってもらうのがいいか……」
私はリファーちゃんが逃げた先、再びミレナパウスさんに抱き着いてじゃれついてるのを尊いとか思いながら、そんな風に考えてた。




