61
不死、それが確かに目の前にある。もしもそれを渇望してる奴がここにいたら、あのクマをなんとか捕獲して研究材料にでもしそうである。まあだからって不死のメカニズムを解明できるかは分かんないけど。
ミレナパウスさんによって何度も『死』を手招きしてるわけだけど、もしかしたらそのうち本当に死がゴールテープを切るかもしれない……とか思って、ちょっと私は静観してた。でも流石に死が20回を超えたら私はミレナパウスさんを止めることにした。
『もういいですよ。ここでは死を与える事が出来ないようです』
「はぁはぁはぁ……けどこのままでは……」
『大丈夫ですよ』
ミレナパウスさんはこののクマが復活したらまた襲われるかもしれない事を危惧してるのかもしれない。それは確かに厄介ではある。もしも油断してる所とか、他の何かと戦ってる時にこいつが乱入して混戦したせいで、致命傷をもらう……と言う未来がないわけじゃない。
だからこそ必死にこのクマを殺そうとしてたんだろう。けど無理だっだ。ミレナパウスさんではこのクマに『死』を与える事はできなかった。だから私が引き継ぐことにした。実際確証はない。
本当にこいつに『死』を与える事が出来るのか……でも自信はある。この甲羅を背負ってるクマの不死はこの亀の世界限定の法則のはずだ。
一つ、多分ここの世界に生きてる生命は全てが不死だろう。
一つ、死んだ瞬間に亀の力が集まってきて死を回避する。
一つ、不死はこの大地でしかなしえない。
簡単なのはリファーちゃんによってクマをこの世界の外に飛ばすことだ。真っ先に思いつくことだろう。けど、それは無理だった。リファーちゃんが直接空間移動でこの世界にはいれなかったように、中から外に空間移動もできないみたいだ。
いや、それをどうにかしようとリファーちゃんは考えてるみたいだけど、まだ時間はかかりそうだからね。色々とこっちにあるデータを渡したらそれをきっかけに出来そうではある。けど考える事も大切だと思う。
まあすぐに私はG-01に頼ってるんだけど……
私はドローンを使って岩が体内を貫いてるクマを囲む。20回も殺されただけあって、はっきり言って、既にクマはその姿を保ってない。体はちぎれて、棘の塊のようになってる所々にクマの破片がある……という状態だ。
つまりはとってもグロイ。けどそれでも奴は死んでないのだ。だって今もその破片……肉片ともいえるのがうごめいて肉体を再生しようとしてる。そして顔の半分だけになってる目にも光がともって「あがぁががああ!!」とか吠えてる。
でもこれだと不死でもね……やっぱり不死になるなら再生手段が必要だろう。このまま放置してたら、きっと元通りになるとは思う。けど時間がかかりそうだ。もっと早い再生手段が必要だ。
けどまあ、このクマの生もここまでだけどね。彼の不死はこの大地限定の法則。ならば……この世界から切り離してしまえば、その法則は適用されない筈だ。私は四機のドローンを使ってクマだった破片がある岩の棘を丸ごと座標指定して結界に囲んだ。




