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大きな吠えるような声と共に、カメが大きく傾いた。てかそもそもがあのカメはどうやって浮いてるのか……そこらへんから疑問ではあるが、大きく傾いたカメはトビウオと一緒に斜めに空を落ちていく。実際トビウオもかなり大きくなったといっても、カメに比べるとまだまだではある。だって人間サイズで例えると、カメが人間の成人男性くらいだとすると、大きくなったトビウオは野球ボールくらいである。確かに当たったら痛い。ケガだってするだろう。
でも一緒に落ちるほどかな? と思う気もする。でもそもそもがカメはその体の形的には飛ぶようにはできてないのは確かだ。空を飛ぶような機能はそもそもがカメにはないのだ。それをなしてるのはやっぱりサンクチュアリなのだろう。だからあの巨体のカメが無理やりに飛べてる。そして無理矢理だからこそ、ちょっとした干渉によってバランスが崩れてしまったんだろうって思えた。
人間サイズで考えたらカメは人間として、ぶつかったトビウオは野球ボールくらいだ。でも無理矢理だったからこそただの野球ボールがぶつかった程度で傾いた。
「いっけえええええええ!!」
自分の力で侵入できなかったことをリファーちゃんは根に持ってるのかな? なんかやけに勢いづけてそういってる。そしてそのまま巨大な陸程の体積があるカメが海に落ちる。大きな水柱が立ち上る。そして海全体が揺れるようにカメが落ちた部分が沈み。そしてその分周囲が盛り上がっていく。この世界はほぼ海だから津波の被害……はそこまで考えなくてもいいのかもしれない。
でももしもそのわずかな陸地にこの津波が襲い掛かる……としたら、その陸地をすべて飲み込むような津波になるだろう。だってそれだけの巨大津波になるはずだ。それだけこのカメはでかい。そしてそんなデカいものが高い位置から勢いよく落ちたのだ。それそこ位置エネルギーと運動エネルギーがとてつもない乗算となって海へと伝わったはず。
大きく沈んだカメ。実はそれから上がってくるのか? とか思ったけど、カメは上がってきた。そして吠えてるカメ。抗議の声をあげてるのかもしれない。とてつもない音量の声に二人は耳を抑えてその場に縫い付けられる。そしてトビウオたちはその音でビクンビクンとなって海に浮かんでしまった。そうなると二人には足がなくなってしまう。




