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「よっと」


 そういってリファーちゃんがトビウオの背に立つ。まるでトビウオをサーフボードのようにして海を滑走してる。亀から放たれてる力はまずはその腹に浮かび上がる。様々な色、そして様々な形の魔法陣。それが海面に投影されると大きく膨らんでそこが爆発する。けど……トビウオは何かを感じてるのか、事前に回避行動をとってた。でもそれだけでおわらない。

 つづいてく。海面に次々に赤やらみどり、紫に白に黒……そんなのが投影されると同時に、爆発だけじゃなく、様々なことが起きる。綺麗な海に広がる大きな毒々しいなにか。いや絶対に毒だよあれ。めっちゃえげつない事をしてきたなって思った。だってトビウオとか海から逃れなられないじゃん? 絶対にあれに突っ込むしかない。だってかなりの広範囲に毒々しい色が広がってる。


「てい!」


 そんな言葉と共にリファーちゃんがトビウオの尾ひれを踏みつけた。すると……だ。すると信じられないジャンプ力を見せてトビウオがK点越えの跳躍を見せる。青空……は亀のせいで遮られてる。けどその時のトビウオは輝いてた。そう見えた。自分の限界を超えたのが本人もわかったのかもしれない。とりあえずリファーちゃんはトビウオを操ることで毒を回避した。

 けどじゃあミレナパウスさんは? 彼女はトビウオを操る……というよりも振り回されてる。だからトビウオに飛んでもらう……自己最高点を勝手に出してもらう……なんて事はできそうにない。でもだからこそ、ミレナパウスさんは自身でどうにかしようと思ったんだろう。ミレナパウスさんの魔力が高まるのを感じる。前に手をかざして、大きく現れた魔法陣が一瞬でそのしなやかな手のひらの中に納まった。


 そしてそこから射出された光。それが海を……割った。なんという力技。トビウオ君、驚いてるよ。その左右にあるヒレを必死に大きく伸ばして更にぶんぶんと振る。どうにか飛ぼうとしてるのだろう。でも実際トビウオは飛んでるわけじゃない。跳んでるのだ。跳ねてる……といった方が近いだろう。海面から勢いよく飛び出して、その空気抵抗の少ない体と長いヒレによって飛距離を稼ぐことが出来る。それが飛んでるようにみえる。でもそれは緩やかに落ちてるだけだ。そして今もトビウオは緩やかに落ちてる。大きく左右に分かたれた海。その中央を進んでる。でもこのままだと……


「海が元に戻った時に大変なことになるんでは?」


 私はそう思った。具体的には大量の海水に二人はもみくちゃにされるだろう。それは結構危ないと思う。

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