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「きゃああああああ!?」
そんな叫びとともに二人ともはじかれる。本当なら空間を超えてリファーちゃんはあの大地へと侵入できるハズ……だった。でもそうはならなかった。
『きっとあれが海の中にいても大地が維持できてる理由……』
私は二人が飛ばされるのを見つつそんな風につぶやく。二人にとっては惨事ではある。けどモニター越しに見てる私にはなんでもないからね。それに……何かにはじかれて飛ばされたミレナパウスさんは再びあれをブルンブルンと揺らしてた。ある意味ありがたいとさえおもっちゃうよね。
それに私が焦ってないのは二人ともあの程度でどうにかなるわけないと知ってるからだ。大丈夫大丈夫、あのくらいへっちゃらだよ。事実エネルギーとしては二人ともそんなに変化してないしね。とりあえずリファーちゃんはミレナパウスさんが落ちてる間にも何回も時空間を超えてのアタックに精をだしてた。
けどやっぱりだめで、ミレナパウスさんが海に落ちる直前に彼女を回収して再びトビウオのもとに飛んでた。
「うーん、背中のほうには回れないみたい。なら……」
リファーちゃんは拳に力を集めてる。そしてそのままその拳に集めた力を放った。まばゆい光線が空に走る。そして間違いなくそれは直撃した。それによってカメが「グオオオオオオオオオオオオオオ」――と激しくうなった。どうやら効いたようだ。
かなりでかい亀である。それに対したらリファーちゃんなんてちっぽけな存在だろう。それこそ蟻と象くらい……それアリとクジラくらいの違いは有ると思う。そうなるとただ単に攻撃をしたって意味がないと思うんだ。
だってスケールが違うと、いくら攻撃をしても……となってくる。これが体内……とかなら話は変わると思う。ほら、人間だって病気で死んでしまう。そしてその病気の原因は病原菌……つまりはウイルスだって有るわけだよ。
ウイルスと言うのは目に見えない。それだけ小さい。けどスケールの次元が違う相手であっても体内なら殺す事ができる。でもリファーちゃんは体内のウイルスではない。うまくあの亀の内部にでも侵入できればどうにかなりそうだけど……けど、前提として私達はサンクチュアリを無理矢理奪取するなんて事は考えてない。
つまりはこの亀を殺すことは許容してないってことだ。そうなるとあまり致命的な事はできない。まあ……
『今の攻撃はかなりマジっぽかったけど……』
ハッキリいって今のは対象があのスケール感がまるで違う亀だから別に死んでないだけであって、同じくらいのスケール……いやたとえば相手が数十メートルくらいの相手ならきっと消し飛べせたと思う。
それくらいのエネルギーをリファーちゃんは込めてた。
「だめかー」
そんな風にリファーちゃんはがっくりしてるが、いやいや、ちょっと思いっきり良すぎだからね君。亀が無事なのは結果論に過ぎないというか? あの攻撃に変な特性……それこそリファーちゃんなら時空間が干渉する様な特性があったら……いくらスケール感が違う相手であってもどうにかできた可能性はある。
リファーちゃんはもっと自分の力のヤバさを理解したほうがいい。感覚だけじゃなく、やっぱりちゃんと理論とかも教えたほうが良いかもしれない。その方がきっと幅が広がると思う。けどもちろんそれは私が教える……ではない。
とりあえずアイに教師役は任せよう




