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あまりにも早い。早すぎるが、とりあえず気が利くG-01はさっきの決定的瞬間を既に切り取って一つのモニターに強調して表示してくれてる。とりあえずそこで再生してるのを見つつ。実は頭の中にだってその映像はある。私とG-01は繋がってるようなものである。
だからモニターに表示しなくても頭の中で表示することだって出来る。その目の前のモニターの映像をゆっくりと流しつつ、私自身の頭の中の映像は素早く再生させる。視覚で捕える情報には限界があるかもしれないが、頭の中に既にある映像データとなると、別にそれは視覚を使ってないんだから、全てのデータを元にある脳で既に分析してるのだ。
だから視覚と脳……二つを使う事で普通ではありえないくらいの速さで分析できるのだ。なにせ既にリファーちゃんは私の答え待ちの状態である。あんまり時間なんてかけてられないのだ。
「問題は二つだよね」
一つ、このまん丸い生物になぜにリファーちゃんの時空間操作が効かないのか。二つ、どうやってこの生き物がリファーちゃんの時空間から出てきた手を逃れてるのか……だ。既に複数回この生物は時空間からの手を逃れてるわけで……こうなったらもう必然だ。偶然とはおもえない。その謎を私は数秒の間に解明しないといけないのだ。
だからG-01と私の脳……それをフル稼働させる。
「これは……よし!」
なんとか私はその原因を究明する事かできたかもしれない。
『なるほど、これは本体ではない。そういう事ですね」
「うんうん! さっすが!」
ふう、何とかリファーちゃんの期待に応えることが出来たみたいだ。よかったよかった。ここで私の回答がミスってたら、きっとリファーちゃんから見たG-01の存在が軽い奴になってしまうだろう。少なくとも尊敬する対象ではなくなってしまう。危ない危ない。うまくやり遂げられたことに私は「はふー」と息を吐く。
今回は何とかなったけど、あんまりこういうのは困る。久々に冷や汗をかいたよ。どうして私がそう思ったのか。それは単純に、沢山のこのまん丸い生物から伸びる力が見えたからだ。別に自立して行動してるみたいだけど、こいつらは無数の個ではない。
個としてこいつらは一つ。それが推測できた。だからきっとリファーちゃんが狙ったまん丸い生物の他に周囲にいる別の個体が見てるんだと思う。だから避けられる。そして時間操作ができないのは、あのまん丸い生物の一体一体の時間は奴らのモノじゃなく、大元の個の時間を共有してるから……だと思った。