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「あーもう!!」
そんな風にリファーちゃんはイライラとしてるみたいだ。まああれだけ避けられたらね……わかるよ。なにせ時空間の移動はリファーちゃんの最も得意とする力だからね。ぞれがこんなに回避されたらね。けど……
「時空間言いつつ、今使ってるのは空間だけだけどね」
あんまりリファーちゃんは時間までを弄ったりしない。いや、もしかしたらやっぱり時空間の力で正しいのかな? 私には細かな所はよくわかんない。けどパッと見はリファーちゃんは時空間の力を操れる筈だけど、大体は空間系くらいしか使ってない気はしてる。もしも時間も使えば……さ。
いくらあのまん丸い奴が空間の揺らぎを感知してリファーちゃんの手からのがれられてるとしても……だ。もしも時間もちゃんとリファーちゃんが操れば逃れる瞬間……それを巻き戻すことで確保することができるのでは?
『時間を操作すればいいのでは?』
なので私は直接リファーちゃんにそういってみた。もしかしたら自分の力を忘れてる可能性があるからだ。なにせリファーちゃんにとっては時空間を弄るのは息をするようなもの。それだけ自然と出来るのだ。だからこそ、忘れる……なんてとんでもないことが起こる。
普通はありえないよ。だって時空間を操るなんてそうそうできることじゃないからね。魔法でやるとしてもそれは大魔法だ。勇者にも確認したけど、時空間を操る魔法なんてのは聞いたことがないらしい。まあ実際、勇者の世界の魔法がどれだけ発展してたのかはわからないからなんとも言えないが……そこそこの発展具合はあったんじゃないのかな? と思ってる。
だからその世界で勇者として持ち上げられてた勇者も聞いたことがないとなると、魔法でさえ時空間を操るのは大変だということだ。なにせ勇者なんだからそのパーティーはきっとその世界の最高峰だっただろう。そこに時空間を操れる魔法使いが一人もいなかったというのならお察しだろう。
けどリファーちゃんはそんな規格外な力を自然と操れる。これほど圧倒的な才能はないだろう。でもそれがリファーちゃんにとっては当たり前なのだ。「それがなにか?」――程度である。リファーちゃんにとっては時空間を操れる……なんてのはちょっと人よりも髪が伸びるのが早い……くらいの身体的特徴でしかないみたいな?
なので失念してる可能性は大いにある。私の発言を聞いて、けどリファーちゃんは渋い顔をした。どうしたんだろうか?
「この子達、止められないよ」
なぜにそういうのか? 私にはわからなかった。