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 儂は都市核に触れた。がっちりと掴んで、この砂獣から引き出す気だ。いや、その気だった……と言うべきじゃろう。だが触れた瞬間、握った儂の腕が都市核へと入っていった。


「なっ!?」

「ぐぎゃあああああああああああ!!」


 砂獣がわめいて儂の肩にかみついてくる。皮膚が裂け、肉が潰れて、そして骨が砕けた。でもその時だ。


『お主になら、託せる』


 そんな声が頭に響く。今の声……儂は知ってる。いや今の声だけじゃない。今の声の後ろに、沢山の声が聞こえたような気がした。それはきっとジャルバジャルの皆の声だったのではないだろうか? そして……託されたそれは……都市核に飲まれた腕にあって見えはしない。だが……この感触は忘れようもないものだった。


「ありがたや……皆に感謝を!!」


 我の事を更に食べようとしてくる砂獣。だが儂は手を都市核から抜き出し、その刃を現す。そしてそれでやつの肩を縦に切り裂いた。


「ぐぬうう……」

「がががああああああ!?」


 儂と奴がそれぞれにダメージを負って離れる。それと同時に、周囲の皆が砂獣に襲いかかる。じゃが、奴は段々とその体の使い方を分かってきてる。相変わらず攻撃に使うのはその口だけだが、動きが……儂等の想像の範疇を超えてる。結局の所、奴に取ってはまだ腕も脚なんだ。だから足が四つある様な前提に動く。二本の足が足りないときは、腕という足を使う。そんな感じ。それが変な動きになって、翻弄してる。そんな中、また一人……グチャグチャという気持ち悪い音を立てて犠牲になった。


「あれは……直ってない?」


 何故かは分からない。だが、この託された剣で切った奴の肩は完全には再生してない様に見える。蒼く光る刀身が特徴的なこの剣は、儂が昔であった砂獣を材料にして作った特別な剣。あの時も、都市が落ちそうなそんな状況で、砂獣の中心、親玉がこの剣の材料になった奴じゃった。でもこれが特別だからって訳でもなさそうじゃ。都市核の一部の力を貰ってる? 不思議と、この剣を持ってると力が湧いてくる気がする。


「こつい、遂に腕を!!」


 どうやら、二つ目の脳みそを取り込んだことで、更に奴は賢くなったようじゃ。じゃが……この剣なら!! 


(全盛期……いや、今ならそれ以上の力を引き出せるはずじゃ!!)


 儂は傷の流血だけを止めて、再び砂獣へと向かう。伸びてくる腕を切り結び、皆の援護を受けて儂は砂獣の懐に入った。

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