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眼鏡をかけたリファーちゃんは興味深そうにグルグルと自身を回転させて周囲を見てます。別に度が入ってるわけじゃないから、見える世界が変わるわけじゃないです。まあ一応、色々と機能はあります。物を鑑定したり、地図を表示させたり、ナビをしてくれたり……色々とできます。今やこの空間の上下の船の構造……それは色々と解明しつつあるので、その情報も入れときました。
なのでナビもある程度実用的な範囲で使えるでしょう。色々と表示される文字がリファーちゃんは面白いのかもしれません。そもそもがリファーちゃんは文字を読むことが出来ないから、なんて書いてあるかは分からないでしょうけど、それでも新たなアイテム……いやリファーちゃんにとってはおもちゃ何でしょう。
私は実際リファーちゃんの視界でその汚れを特定したいわけで、実際その両手を見ててほしい。
『いいですかリファー?』
「うん! 似合う?」
そう言ってメガネをかけた自分の顔で色々と表情を変えて見せるリファーちゃん。はいはいよく似合う。それに異論なんてない。
『よく似合ってますよ。それよりも汚れがついてる部分を見てください』
「はーい」
私の要求を飲んでくれたリファーちゃん。リファーちゃんは自分の腕の空間の汚れ……それがついてるだろう方の腕をみてくれる。当然だけど、普通に見たところで私にはその汚れ……見えない。
でも……ここからがこのメガネ型デバイスの本領発揮だ。実際このままでは逆じゃないか? と思うだろう。だって眼鏡はリファーちゃんの視界の外にある。つまりはまずはメガネが周囲を捉えて、そしてリファーちゃんの目がそのフィルターを通した周囲を見てる……ということになる。
それは私がほしい視界とは逆である。私がほしいのはあくまでもリファーちゃんの見てる視界だ。そうなると外側にデバイスをかけるのじゃなく、内側……それこそリファーちゃんの目をハッキングするみたいな……そんなことが必要だろう。
けど大丈夫なのだ。このメガネ型デバイスでも、リファーちゃんの見てる世界を再現できる。だってこれはそういうデバイスだからね。それだけのテクノロジーがこの眼鏡には詰め込まれてる。
メガネの耳にかけるフレームの部分にはかけた人の脳の動きを把握する機能があり、そして眼鏡のレンズ部分は外を見るだけじゃなく、この眼鏡の場合は内側……つまりはリファーちゃんの目を実は捉えてる。
その眼球の動き、そして脳に伝える信号、外から眼球に伝わって来てる信号を解析して、こっちにそのデータをくれる。つまりはリファーちゃんの視界をこっち側で再現できるのだ。
私は新たなモニターを出してリファーちゃんの見てる世界を覗き見る。