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どうやらリファーちゃんは戦いに夢中になってしまったらしい。少し前まではリファーちゃんが結構圧倒的だっだ。それは彼女がベース的に強い……ってことがある。肉体的にもセンス的にも、圧倒的にミレナパウスさんよりも恵まれてるのだ。
多分だけと、リファーちゃんはきっと勇者と同じだ。どういうことかというと、つまりはリファーちゃんも『主人公体質』――ということだ。秘めたる力……諦めない精神……そんなのは主人公の持つ条件だ。
それらがリファーちゃんにはある。最初はミレナパウスさんの方が強かった。でもそれも本当に最初の最初だけ。すぐにリファーちゃんは自分の力を使いこなしだした。どういう感じなのか、なんとなくだけどわかったんだろう。
それによって時空間を使いだすと形勢は逆転したといっていい。きっと理屈じゃない。リファーちゃんは感覚で時空間を使ってる。まさに主人公だよね。追い詰められて戦闘の中で覚醒したようなものだ……
「二人が楽しそうなのはいいんだけど……リファーちゃんの感覚……メタリファーが残した扉……それはきっとリファーちゃんにしかわからないんだけど……」
だからこそリファーちゃんに私は聞いたのだ。ここは特殊な空間だ。普通空間が移動するなんて思う? てか出来る? 推進力は? この空間にロケットエンジンがくっついてる訳なんてない。でもこの空間は移動してるのだ。それだけでも特殊だ。
きっとそれだけメタリファーは空獣を危険視してたのだろう。絶対に安全にするために特殊な空間を作り、そして更に安全策を張り巡らせた。その結果が移動する空間なんだろう。これでもいつかは空獣に見つかるかもしれない。でも……その確率はただその場に留まってる空間よりかはずっと低くなるだろう。
でもここから出れないのは困るし、そして帰って来れないのも困る。これから沢山の世界を渡り、そしてきっと色んな危険と出会うだろう。それらを乗り越えていくにしても、ずっと戦いばかりでは疲弊してしまう。
私達には自動的に体を回復する機能が備わってるけど、安全な家に帰るのとは回復度が違うというか? そういうのはきっとあると思う。ここならとりあえず安心……という家の存在。それがここであってほしい。
だって都合がいい。そもそもが極まった超科学の産物であるG-01をゆっくり点検できる設備なんて早々ないわけで……ここはそんな観点から言っても、とても都合がいい場所だ。だからここを活動拠点として利用したい。
メリットはたくさんあって、ここを無くすデメリットはそれこそメリット以上に沢山ある。だからこそ、色々と整えないといけないわけだ。
「出入口はこっちで作る……か」
私はそうつぶやいた。




