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「過半の弧と半数の角、それに私の魔力をなじませる。それと……」
『リファー、もしもここから出るとしたら、リファーはどこから出たいですか?』
私は威厳を醸し出してリファーちゃんの頭に声を届ける。楽しそうにミレナパウスさんと戦ってるリファーちゃん。そんなときに横やりのように思念を飛ばしてるんだから、これはミレナパウスさんにとってはチャンスだ。
「出たい? どこでもいいの? ぶほっ!?」
あっ、リファーちゃんがミレナパウスさんの右ストレートに吹っ飛ばされた。マジで私のせいで攻撃に当たってしまった。ごめんね。まあ心の中だけで謝ってその声を届ける事はないけどね。
「今の……よかったよミレ姐!!」
ぺっ――とリファーちゃんは口の中の血を吐き出した。なんかキラキラしてない? 君の血? 赤いんだけど、なんかキラキラしてる。ラメでも入ってるのか? 私はちょっと解析してみる。
「わぉ」
私はびっくりした。何故か? それはリファーちゃんのキラキラとしてる血。それがとても特別なものだったからだ。それは……
「一口飲めば不老不死になり、難病を直し、二口飲めば肉体を超越し時間を超える……夢を超えし万感の血」
私はモニターに映ったその効能を読む。うん、なにこれ? リファーちゃんやっばいぞ。その血を下手にペロッ――なんてさせられないな。彼女自身にはいいけど、他の誰かがもしもリファーちゃんの血を得たら……とてもまずいことになるだろう。
私は私の質問を完璧に失念して戦いに集中してるリファーちゃんとミレナパウスさんを見る。一発入ったからかリファーちゃんはどう勝つか……しか頭になくなってるよう。リファーちゃんは直情的な性格してるからね。
まあ簡単にいうと彼女は単純ということだ。
「ほう……ミレナパウスさんも成長してるね」
私は二人の戦いを見ながらそう息を吐いた。私の場合はリファーちゃんが時空間を利用して迫ってきても、どこから現れるかの確率を瞬時にG-01が計算してだしてくれる。だから確率が高い所に攻撃をおいておく……ということができる。
それをしたらきっとリファーちゃんを捕らえるのも簡単だ。事実として、よく鬼ごっこはしてる。リファーちゃんが逃げで私が追いかける。それで私が負けたことはない。そういう遊びの勝率の積み重ねでも、リファーちゃんに尊敬という念を刻ませてるのだ。
勿論だけどミレナパウスさんはそんな事は出来ない。でも一番リファーちゃんと戦ってるのはミレナパウスさんだ。だからこそ、その傾向がわかってきてるのだろう。時空間を自由に移動するリファーちゃんを捉えつつある。
いや……私の質問……答えてほしいんだけど……