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「どういうこと?」
もしかしたらこのG-01に残されてるデータが違ってる? その可能性があるだろうか? でもこのG-01を作った世界はそれこそ全ての世界の頂点といっていい技術だ。それは間違いない。だって今のところ空獣とやりあえそうな技術を持ってるのは彼らしかない。いや、いうならG-01しかない。
そんな超科学を持った人たちのデータを疑う? それよりも別のことを考えた方がいいかもしれない。
「もしかしたら世界とは移動するとか?」
その可能性を考えてみた。でもそれなら注釈くらいこのデータを取った人が入れてておかしくないよね? だってそれってめっちゃ重要な情報じゃん。もしも世界が移動するのなら、ただの座標を設定するだけでは駄目と言うことになるし。
でもデータにそんな注釈はない。座標だって数字的に固定されてる。もしも移動が念頭に入ってるのなら、数字には遊びがあっておかしくない。でもそれはないからね。つまりは世界が移動する……というのはきっとない。
じゃあなんでこんなに世界の信号が多いのか? いや、多いのはいいけど、位置関係がおかしいのか……の方が問題だろう。世界が移動しないと言うのなら、逆の発想をしよう。
「もしかしたら、この空間……移動してる?」
その可能性を考えた。内側にいたら全く持ってわからないが、空間がどういう風になってるかって内側からはわからないものだ。でもそれなら……そうそれならこの離れてる世界の反響まで伝わってくるのが説明できる。
でももしも移動してるのなら、大きく感じる反響、そして小さく感じる反響があるはずだ。近づくと大きく、そして離れると小さくなるのは簡単な理屈だ。もしもこの空間が移動してるのなら、そうなるはず。でも……今のところそれは感じない。いや待てよ。
「これって、反響自体は小さくなってる。けど、全ての周波数を同じような強さで受け取るようになってる?」
そうこれはG-01に内蔵されてる標準の機能だ。デフォルトといっていい。だから気づかなかった。それをオフにしてみると、確実にちいさくなった波長と大きくなった波長がある。これで確信した。
「この空間自体が移動してるってことね」
これは想定してなかったよ。