237
「いっくよーお姉ちゃん!」
そういってリファーちゃんが一瞬できえました。どこに? 背後? 私はとりあえず自分の周囲を防壁で守ります。一瞬ではがれる程の薄い膜の防壁。でも大体突っ込んでくる彼女には効果的です。
なにせ触れた相手をしびれさせる効果があるからです。リファーちゃんは時空間を使って、様々な動きをしてきます。だからこそとらえることが難しい。小さいから的も小さいし、動きだって素早いからです。私と違って運動神経もいいみたいです。
どこからくるかわからないリファーちゃんを警戒しつつ、更に魔法の準備をします。それに体だってどうにでも動くように準備はしてます。ストレッチもばっちりです。確かに私は運動音痴。でも、だからって今までは改善してませんでしたけど、今は一生懸命やってます。こうやってリファーちゃんと戦うだけじゃなく、アイ様……はあんまり相手してくれないですけど、勇者様に武術を教わり、そして目玉の皆さんにも相手をしてもらってます。
なのでかなり私の動きはよくなってます。それに……私には裏技もあります。
(きっと反応できます)
私はそんな風に緊張してました。どこからきてもいいように私は視界を広くとってる。けどその時、ムズッとした。何がムズッとしたのかというと、それは体内。胸の所が何だかムズッとしました。その時です、私の胸元から白い腕が出てきました。
「なっ!?」
「あは、じゃじゃーん! びっくりした?」
腕に続いて肩、頭と出て来たのはリファーちゃんです。まさか時空間で体のある所に出るなんて……そんなのアリですか? 私の体は大丈夫なのか? 別に痛くないですけど……でもその気になればこれってリファーちゃんの気分次第で相手を時空間の彼方に簡単に飛ばすことができるのでは? 今はリファーちゃんが時空間から出て来てます。でもこれを反転させたら? 私をこの時空間の狭間に吸い込ませることができるのではないでしょうか? それにこの時空間の狭間は私の体内に発生してます。そこからきっと広げて私の体内には影響ないようにしてるようだけど、その配慮がなかったら、そもそも体内から肉体を引きちぎって現れる……という猟奇的な事ができます。
考えたくもないけど……体の内から攻撃されたら防ぎようなんて……ない。
「そこまで!」
そんな声が響く。私の体から、自身の体の半身を出した状態で笑ってるリファーちゃん。それをみて、勇者様が勝敗を決めて止めてくれました。今回は……と思ったんですけど、ダメでした。残念です。




