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 都市核を胸に宿した砂獣……というか人型の化け物。それは人型をしてるからこそ、悍ましく感じる。何せ動きがおかしい。俺達は人の動きを知ってる。そして人の動きは体が構成してる骨や肉でその動きには制限がある。これ以上回らないとか、こっちの方向には動かないとか……そんなんだ。けど……人の形をした砂獣はそこら編がまるで分かってないようだった。歩こうとすると、バランスを崩して倒れて、立ち上がろうにも、どうやれば良いか全く分かってないみたいだった。変な風に関節部分が動いて、それはもう気持ち悪い。終いにはこっちを見るために倒れたまま、首が真後ろに回った。


「うげっ……何だあれは?」

「ふざけてるのか?」

「いや、そうじゃない。あれは――」

「砂獣は今まで虫やら動物の姿を取ってる事が多かった……というかそれしか聞いた事ないですじゃ。人型になれてない……」


 ジャル爺さんの言うとおりだと思う。そもそもがなんで虫とかの形を取ってたのか、それすら分かってないんだから、人型の砂獣がいてもおかしくはない。おかしくないが……やっぱりあの動きを見てると、砂獣って奴は生きてる生命じゃないってのがわかる。俺達なんかよりも、よっぽど使者的だ。そう、この地上の生命を食らうための作られた兵器……みたいなさ。今までは虫とか動物とか、そんなのを模してれば、十分だったんじゃないか? 


 だからこそ、変化なんか無かった。いや、実際にはあったのかも知れないが、そう言う記録はなかなか残る物でもない。でも俺や魔王……そしてジゼロワン殿の出現。さらには俺達がもたらした力……それによって砂獣も変化を強いられた。だからこそ、こんな物が生み出されたと考えれば……この急造したような動きさえおかしな物になってるのにも説明がつく。なにせ本当に生命とかなら、本能的に動き方って奴はわかる筈だ。

 でも今まで四足とか、それ以上の足で動いてきた砂獣という存在には二足歩行のデータなんてない……みたいな? だからこそ、あんなバグってるような……気持ち悪いことになってると考えられる。


「全くつまらんな」

「確かに魔王様にはそうかも知れませぬな。なら我らにお譲り頂けますか?」

「勝手にしろ」


 どうやら魔王の奴は、あの砂獣の動きに興が冷めたようだ。まあさっきからその場でぐるぐると回ってるだけだからな。魔王が呆れるのも分かる。でもこれはチャンスだ。労せずに都市核を取り戻せるチャンス。


「全員油断するな! あれを取り囲んで一斉に攻撃だ!」

「「「おう!!」」」


 ジャル爺さんはすっかりリーダーになってる。まあジャル爺さんは戦闘は本当に凄いし、視野も広い。任せておいて問題は無いだろう。そう思ってると、なんか砂獣が丸まってる。そう思った瞬間、砂を吹き飛ばして奴の姿が消えた。


「いかん!!」


 そんなジャル爺さんの声が響いたが、遅かった。俺達はあの人型砂獣のあまりにも情けない姿に油断していた。でも忘れちゃいけない。あれは都市核を得た特別な砂獣であると。賞金稼ぎの一人を奴は咀嚼してる。溢れる血が砂に染みこんでいく。奴は立ち上がってなんかいない。ブリッジしてるかのような格好で、頭だけは回転させて上下を逆転してまともにしてる。けど、普通はそんな風にはならない。だからこそ違和感があって、そして悍ましい。そして再び奴は手足を踏ん張った。


「来るぞ! 構――」


 ジャル爺さんの声が途切れる。まさか!? 俺の脳裏に今し方食われた賞金稼ぎの人と同じ光景が浮かぶ。今度はジャル爺さんが?  させるか!!

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