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アイが異様にメタリファーだった彼女を拒否してるのはどうやら私に似てるから……というか瓜二つだからみたいだ。確かにあの中では私の素の姿を知ってるのはアイくらいだ。厳密にはポニ子も知ってる。何回もコクピットまできてるからね。私を認識できてたのなら、メタリファーだった彼女が私と似た顔してるとわかるだろう。
けどポニ子は何もいえないから気にしてるのはアイだけ。でもその言い方ひどくない? 私の顔だから、メタリファーだった彼女が近づいたら寒気がするってさ……女の子に言うことじゃないでしょ? てか私の顔だよ? もっとよく見ろ。めっちゃかわいいから。めっちゃ整った顔をしてる。これで寒気? 惚気でしょ? まあアイに惚気けられても気持ち悪いけどさ。
でもなんか拒否されたら負けた気分になるというか?
『我慢してください。彼女は大切な存在なんですから』
「くっ……」
本当に嫌なんだね。めっちゃ悔しそうな顔してるアイ。けど私は嫌だとアイがいってたから逆に我慢させてやることにした。もっともらしい理由を作ってね。それに嘘じゃないし? 彼女は大切な存在だ。何が大切か? はよくわかんないが、きっと大切な存在になるだろう。
立場的には私のほうがアイよりも上位なのは間違いない。なのでアイも私に言われたとおりに、メタリファーだった彼女にいいようにされてる。
「なんで私なの?」
とりあえずなんとか抵抗しようと、そういったアイ。けど彼女は「ふにゅーいい匂いー」といって首筋に鼻先擦り付けてる。猫か? それに後ろから抱きつている形だから、絶対にアイを逃さない……という気合を感じる。
「ほら、私だけじゃないわよ。彼女もいい匂いよ」
「わたしですか?」
アイは自分が開放されるためなら、生け贄を捧げるのも全然やるようなやつらしい。その生け贄はミレナパウスさんだ。そう言われたら、とりあえずメタリファーだった彼女は興味をもったみたい。
なのでアイを開放してミレナパウスさんに近づく。くんくん、くんくんと鼻先から近づいていく彼女。
「えっと、どうでしょうか?」
ミレナパウスさんは謙虚だった。拒否はしてない。わざわざ手首を差し出して、そこの匂いを嗅がせて上げてる。すると突如、彼女はぺろっと手首を舐めた。
「ひゃあ!?」
それには流石にミレナパウスさんも驚いた。そして彼女はこういった。
「うん、合格」
ってね。