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 流石に自身の匂いを無断で嗅がれるのはいやらしい。まあ女の子ならそれは当然と言えば当然だ。女の子はみんないい匂い……とか思ってるかもしれないが、生きてる……アイの場合生きてる? とは言えないかもしれないが、あいつにも女の子的な感覚はあるのかもしれない。生きてる限り、いい匂いだけを排出する……なんてのは幻想なのだ。


 実際、アイのボディは普通の肉体じゃない。てか普通の人間としての肉体を持ってるのなんて私の仲間ではそれこそ今はミレナパウスさんくらいだ。彼女……メタリファーだった彼女の肉体もスキャンした限りはちゃんと生命活動をするちゃんとした肉体をしてる。だからきっと匂いとかもあるだろう。そこでふと思った……


「匂いも一緒なのかな?」


 私は自身の両手を鼻に近づけて思いっきり息を吸ってみる。けど……実際わかんない。手のひらで分かりづらいのなら、今度は鼻をに腕を近づけてみた。けど……うーんである。ではやっぱりここは脇? 私の脇は処理なんてしてないが、脇毛なんてものは一切ない。ツルッツルである。脇が見えるように腕を上げて、首を伸ばして顔を近づける。


 クンクン――


 これでツーンとした匂いとかきたらショックだったろう。だってそれはもう匂いとかじゃなく、ワキガ……だからだ。でもどうやらそんな心配は杞憂だった。別になにかいい匂いがするってことはなかったが、激臭がするってこともなかった。まあ自分の体臭は自身では分かりづらいってのは知ってるけど。そもそも私は常に洗わてる……みたいなところあるし? 

 臭い理由はないと思う。きっといい匂いも臭い匂いもしはしないだろう。言うなればここにいる私は無味無臭。だって私は常にここの機械に清潔に保たれてるからね。


 けど彼女……メタリファーだった彼女は外にいるわけで、常に清潔ってわけにもいかない環境。匂いとかって汚れ……な部分もあるからね。てか……


「離れてください」

「いーやー」


 怒られたというのに、メタリファーだった彼女はアイから離れてない。むしろ引っ張り剥がそうとしてるアイに抵抗までしてる始末である。アイが本気を出せば流石に引き剥がせるが思うが、流石に本気出して彼女が怪我とかしたら困るという意識はあるんだろう。程々の力で抵抗しかしてないみたい。


「ふたりとも、協力しなさい!」

「あははえっと……」

「僕も女の子を無理矢理は……」


 ミレナパウスさんも勇者も困ってる。勇者は男だからね。下手に女の子に身体的な接触をするのは気が引けるのだろう。それはいやらしい感情云々ではなく、勇者の場合は勇者だから。その紳士的な心によるものだろう。実際勇者ほどのイケメンになら、大抵の女は触ってほしい……とか思うと思うが、勇者はきっとそんな事微塵も考えつかないと思われる。


『いいじゃないですか。少しくっつかれる程度。苦でもないでしょう?』


 私は暗に諦めていいようにされてろ……と指を通して声をその場に届ける。けどすると……アイのやつがめっちゃ睨んできた。え? 何? 


「それは……いや。絶対に」

『なんでですか?』


 ここまで拒否するなんてよくわからない。だってアイの体のスペックははっきりいって勇者よりもいいからね。その気になれば勇者よりも出力が出るボディなのだ。なのに……そう思ってるとアイはぼそっとこういった。


「この子を観てるとどっかの誰かを思い出して寒気がする」


 おい、それは私を思い出す顔してるからってことかオラ? つまりはそういうことだよね? 


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