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「あれ?」
私はいつものコクピット内の光景を見て目をバチクリとする。ゴシゴシとして、更に頬をパンパンとして気付けした。そしてさっきの事は何だったのか? と思った。私は……私をみた? ような気がする。でも……そんなわけないよね? ドッペルゲンガーとか?
「とりあえずユアの卵はどうなっ……」
私は次の言葉が紡げなくなった。なぜかというと、ユアの卵から生まれてたからだ。
私が……
何をいってるのかわからないかもしれないが、だってそこに……私がいる。生まれ落ちて来てる少女。それを受け止めようとG-01は両手を下に置いてる。ユアの卵は今や完全に割れてその姿を消していってる。外側のブヨブヨした部分に受け止められてゆっくりと手の方へとむかってきてる私……いや、これがメタリファーの生まれ変わった姿……なんだよね? 状況的にそうなる。
でも……なんで私。まさに瓜二つ。違いがあるとすれば、髪の色くらいだろうか? 私は銀髪だが、この私は薄い金髪だ。光に良く透けそうなそんな髪色してる。G-01の手に彼女が収まる。すると、ユアの卵は役目を終えたと言わんばかりに完全に崩壊して消えていく。どうしたらいいんだろう? 私は彼女をみて立ち尽くすしかない。
「生まれたんだな」
それは彼の言葉。そして更にこういった。
「約束を果たすことができただろうか?」
そんな奴じゃないだろうになんかしんみりしてる。そんな風に言われると、ちゃんとみせた方がいいよね。でも……
「裸じゃん」
流石に私は皆に自分の裸体を見せる趣味はない。この子は私ではないが、体は瓜二つなのだ。この子の裸を知られるという事は私の裸を知られるということだ。それはハズイ。だから何かできないか? と思った。服を創造する……というのは出来なくもない。その位、ユグドラシルシステムなら出来る。
でもどんな風にデザインするとかさ? 私にはなかなかに難しい。そこら辺のデータはないし。
「この子、私と全く同じ見た目なんだよね? なら……」
私は一番簡単に出来ることをした。裸なのがいけないのだ。私は自分のスタイルには満足してるから別にそれ自体をしられることはいい。ならば……私はとりあえずそれを施して皆に彼女を見せることにした。私の手の中でスヤスヤとしてる彼女。
それを見せて彼にこういう。
『ちゃんとメタリファーは生まれました。新たな存在として生きてます』
――てね。