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私はもっとメタリファーを理解する必要がある。もっともっと寄り添う必要があるだろう。今でもメタリファーがメタリファーとしての意識があるのか? という疑問はある。だって今、メタリファーは生まれようとしてる。メタリファーという存在から、一つの命として世界に生まれ直そうとしてるのだ。
いうなれば今は蝶が蛹から成虫になる過程のようなものだと思う。蛹の中ってドロドロらしい。液体になってるんだと。ならばその時に意識はどうなってるのか? なぞだよね。まあメタリファーの肉体は、そもそもが生命活動とかしてなさそうだった。
だってメタリファーはそもそもが概念であって生命ではない。だから今が蛹の状態といっても、本当の蛹とはもちろん状態は違うだろう。
実際メタリファーはこうやって今も訴えることばしてきてるからね。それが意識的なのか無意識なのかはわかんないが……
「彼の記憶に残ってた分析、でもそれだけじゃな足りない」
だって彼の分析だって完璧じゃない。確かに彼は天才だった。でもそれメタリファーの謎を解明するには彼にも時間が足りなかったんだと思う。でもそれでも、ある程度、メタリファーと意思疎通を出来るように、この意味不明な信号の解析をしくれてる。
その全ての記録はG-01へと引き継がれて、G-01の最新? なのかは知らないが少なくとも彼がいた時よりも新しくなってる色々な知識とデータ、そして私の拡張された頭脳があれば……更に詳細にメタリファーの訴えを分析できると思う。いやおもってた。
でもやっぱり断片的な事しかわからないっていうか? 全く違う存在を理解なんてきっとできないんだろうって思った。けどそこで諦めたら、メタリファーは生まれない。彼は生まれようとしてる。それが何のためかはわからない。もしかしたら下界に降りてみたくなった神のようなことなのかもしれない。
それかもっと別の。
「他に何か方法は……」
天才である彼が一生懸命解析して、最新のG-01の分析能力で解析しても断片的なことしかわからなかった。何を訴えかけてきてるのかというと、はっきり言うとよくわからない。
「頭・出会い・虹・風・海・友達・家族・ダジャレ」
――とかである。いや本当になんだよって感じだよね。ある意味で普通の生涯を送ってみたいとか? でもそれなら……
「今の押し寄せてる運命にあるかな?」
それである。だってメタリファーという特殊な存在が命と体を得て生まれようとしてる所に押し寄せてる運命……それはきっと劇的なもの。きっとそうだと思うんだよね。




