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 うーん、メタリファーは命を得たかった。それが「なぜ」か? ということだ。メタリファーには時空間を操れるという規格外の力があって、概念だけあって寿命だってない。ようはなんだって出来放題といえる。

 私なら文句なんてないんだけど……でもメタリファーはなぜか期限がある命をもとめた。そこにはきっと理由がある。それが何なのか……記憶の中に一つ、ヒントがあった。


「命、といっても様々だ。どう生きたいんだ? 草木になりたいのか?」


 それはとてもグッジョブな質問だったといえるだろう。確かに命といってもその皮、生命の形は様々だ。草木だって野生動物とか……昆虫とかだって命だろう。命を欲しい……といっても、それは千差万別といっていい。

 だから彼も、どんな命にするのか……その為の指標が欲しかったんだろう。でもまさか、「運命」までもかかわってくるとは思ってなかったと思われる。実際ユアの卵はこれがはじめての使用みたいだし、魂に運命が付随なんてこれが初めての発見みたいな? そんな感じだろう

 マッドサイエンティストだった彼だから、魂とか、命の改造はかなりやってる。だってこの船……その中にある三つの世界の生命はそれこそ改造された生命で溢れてる……といっていい。もしも彼がまだ元の世界とかとつながってたら、狂気の実験の成果……とか言われて非難ごうごうだっただろうと簡単に想像できることをやってる。

 つまりは彼は元の世界を追放されてもまったく反省なんてしてないのだ。そんな彼の研究の集大成がユアの卵といっていい。この結果だって傍から見たら失敗に傾いてるが、新たな実験結果が出てる訳で、本人がいたらきっと歓喜物だろう。

 今いる彼はただのデータだからそこを露骨に表す……なんて事はしてないが自分の中のデータを使って色々と考えてはいるだろう。

 メタリファーはどんな命が……そして生命として誕生したいのか……それをちゃんと言ってくれてた。


『考える頭と、世界を見る目。会話する口に、他者とつながる腕、包み込める体に、明日に向かう足が欲しい』


 そんな言葉が残ってた。それはもう「人」では? と思うが、それは私がヒトの形をしてるから、それに引っ張られてるだけかもしれない。実際同じような見た目の生命体なら他にもいるだろう。


 でもそれを聞いて一応彼も『人』を目指してたみたい。それで実際やってしまうのは恐ろしい。私なら、どうやっていいのかわかんない。メタリファーのような存在に魂を与えて人にするって……皮を用意するだけで操ってもらう……とかとはわけが違う。

 本当の本当に、メタリファーを「人」へとするプロジェクトだ。つまりはメタリファーは人になりたかった。でもどうしてそう思ったのか……それはよくわかんない。何を見てそんなことを思ったんだろう。

 そんな事を思ってると、私がユアの卵の観測の為に入れてた指からの通信がなくなった。エラーだ。私は確かめるためにいったんユアの卵の方を見ることにする。


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