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そうなのだ。この場所にいた目玉たち。最初に私達と交戦した目玉たちはどうやら元々はメタリファーと交信を可能にするための観測機だったみたいだ。今の様にバトルったり、船の掃除をしたり……というのは長年の稼働で起きた進化? みたな? そんな感じらしい。目玉の最初の役目はメタリファーとの交信を可能にするため、メタリファーの発信する時空間の変化……それを観測分析する為のデバイスみたい? そんな感じだったみたい。
それはある程度上手くいったようだ。どうやら最初の目玉は今の大きなサイズ感じゃなく、それこそ手のひらサイズだったみたいだね。それが増えていく船の管理に伴って大きくなっていったみたいな? もちろん最初は材料を節約してた……という理由もあるんだろう。
でもメタリファーが時空間のいたるところから船を持ってきて積み上げていくから、彼もこれなら材料を惜しげもなく使うことができると思ったんだろう。わざわざ大元である自身の船を改造して目玉の生産設備までも作ってしまったのもそのせい。
そしてどうやら目玉のおかげで、メタリファーとの交信はそこそこ上手くいったみたい。それならそこで目的だけじゃなく、その理由までも聞いてくれたらよかったのに、彼はただメタリファーの新たな存在として転生……という部分だけで納得したみたいだ。
きっと彼はそれが「面白い」とでも思ったんだろう。メタリファーという概念を新たな命として世界に生誕させる。そんなことは簡単に出来ることじゃない。命と命を賭けわせて命を作る……とかじゃない。
交尾をさせるとかとはわけが違うのだ。そもそもメタリファーには交尾する相手なんていないだろう。複数メタリファーがいるのかもわかりはしない。そもそもがメタリファーが複数いたとしても、それは別のメタリファーなのか……それともメタリファーは全てが同じような考えというか? 意思というか? 一つに統一されてたりするかもしれない。
まあ何もわかりはしないんだが……たがら彼は目の前のこのメタリファーだけを考えた。そしてもしもメタリファーか転生したら時空間にどんな影響があるのか? とかはとりあえず置いておいたみたいだ。
彼はそもそもが専門が生命とか、命とか……そっちに特化してるみたい。だからこそ、概念に命を与える……それにめり込んでしまった。そんな美味しい話はなかったのだ。だから理由なんてどうでもよかった。
でもちょくちょく意思疎通はしてたみたいだから……それを取り出して私がメタリファーの想いを推測するしかない。運命がぶつかり合ってるからきっとその中にはメタリファーが望む未来もあるだろう。
その未来にどうにかして、誘導できれば、ユアの卵から誕生出来る筈。このままだと私達だってこの場所から出れないしね。




