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「何やってるのよ」
そんな声が思わず出てしまった。彼の記憶をしっかりと……ではなく、素早く頭にインストールして再生してたわけだけど……これは追放されるわ……となったからだ。
具体的には言わないけど……倫理がね。はっきり言って彼は追放でもなかなかの温情だったんだと彼の記憶をみて思った。流石にこれはしっかりと直視なんてできない。
彼はきっともうぶっ壊れてたのかもしれない。確かにこのメンタルなら、メタリファーの目的なんてどうでもよかったのも納得だ。自分の事だけ……自分の望みが叶えばよかったから、メタリファーの提案に乗ったとわかる。
きっと彼の世界の人……それかその世界に直接行けたとしても、この記憶を見る限り、彼の事は口にしてはいけない気がする。絶対に歴史から抹消されてるよ。
それか、狂気に走った史上最悪のマッドサイエンティストとして歴史に残ってるか……こうなると私が彼と接触したのはよかったのかどうか? 強化面だけを観ればよかったといえる。
なにせユグドラシルドライブが二つになってツインドライブ……いやソードコアへと進化したし。ユグドラシルはG-01の根幹だ。それが二つになるのは単純に心強い。
まあ出力は二倍になってないし、寧ろ繊細さに磨きがかかったせいでしばらくは出力を抑えなければいけないのは確定だけど。けど長い目で見ればソードコアになったことを損とは思わない。
だから機能面で見たらこの出会いは行幸。けど、いつか私は自分の事を知るためにもG-01を作った人たちに接触したいと思ってるし、世界を渡る中で、きっとその世界とも邂逅すると思ってる。
その時……G-01とか調べられたらソードコアになってることもバレるし、ユグドラシルに型番とか製造番号とかあったら、きっともう一方のユグドラシルがどれのエンジンだったのかわかると思う。
そうなると……ね。私が彼の関係者……とみられかねない。実際、彼に出会ってこうやってかかわってるし関係者だけど……記憶だってこうやって受け継いでるしね。
ある意味で後継者……とか言われかねない。大丈夫かな?
(いや、先のことは今はいいでしょう。今はとりあえずメタリファーだよ)
問題はとりあえず先送りにすることにした私である。




