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 驚いた。何せ真っ先に起き上がったのがジャル爺さんだったからだ。あの枯れた爺さんが一番に立ち上がるとはマジで思ってはなかった。やっぱり思い……か? それがきっと大きいんだと思う。思いがあれば……立ち上がることが出来る。思いがあれば……奇跡だって起こせる。きっとそうなんだろう。ジャル爺さんのおかげか、他の皆も頑張ってる。これなら……なんとか目標だった二桁に届きそう。


「よっと」


 俺は砂獣の攻撃をかわしつつ聖剣を振るう。抵抗なく砂獣は俺の聖剣によって切り刻まれる。力なんて必要ない……それくらい俺と砂獣には力の差がある。だから余裕を持って対応することが出来るんだけどな。それなりに数は減らすが、あんまり減らしすぎないのも大変だ。まあ幾ら減らしてもどんどんと追加されてるから、問題ないような気はするか。


「うははははははははは! イケるイケるぞおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 テンションハイになってるジャル爺さん。まあでもあの人の場合はしょうが無いだろう。何せここにいる砂獣は彼の仇も同然だ。このジャルバジャルという街を滅ぼした奴らなんだからな。その仇に今、自身で反撃できてるんだ。それでテンション上がらないなんてないよな。やっぱり自身の手でそれが出来るって事は大きいと思う。ジャル爺さんはそれこそ、それを諦めてたんじゃないだろうか。

 何せ彼は高齢だ。自身の限界だって感じてたと思う。だからこそ、サポート的な事を考えてたはず。でも今、彼は事実……砂獣へと自身で挑んでる。俺や魔王と違って、そのやり方は危なっかしい。でも……


「戦いの経験が無いわけじゃないみたいだな……てか……結構凄いぞ?」


 ジャル爺さんは蟻の形をした砂獣の突進を借りてる剣で受け流したり、ちゃんと関節部分とかを狙って切りにいってる。俺や魔王はそこら辺全く考えなくも良いけど、流石に現地の彼等はそうはいかない。まあ俺達もただ力押しだけしてるのはどうかと思わないとな――とは思う。見てて思う。あれは素人の動きじゃない。ちゃんと戦いを知ってる……戦ってきた奴の動き……ジャル爺さんはただの爺さんかと思ってた。運良く生き残った運が良い爺さん……と思ってたんだが、どうやら彼も若い頃は戦士だったみたいだ。それが軍属なのか、それとも賞金稼ぎだったのかはわからない。だけど……ジャル爺さんはかなりのテクニシャンみたいに見える。


 変に曲がったその剣で上手く攻撃を受け流してるし、その構えもなかなかに独特だ。体を横にかまえて、剣を握ってない奉納では後ろに回して腰に密着させてる。足運びもなかなかに興味深い。あまり体重を掛けてないようにしてる? 滑るように移動してるように見える。そして最小限の動きで砂獣の懐に入り込み、砂獣の複数ある足を切り刻んでいく。そして足をなくした砂獣は砂に胴体から落ちる。そして頭ではなく、頸の付け根を切り裂いた。

 強度が上がった砂獣への完璧な対処と言えるその動きに俺は感心したよ。

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