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 一体なにが? 彼は本当に何をメタリファーへと与えたのだろう? メタリファーはまるでそれを受け入れて歓喜を叫ぶように吠えてる。そしてその体が……姿が更に光に包まれていった。


『最後の願いだ。これに許可を』


 それはどうやら私……にいってるみたいだ。多分全ての権限を私に譲渡したから、死した彼ではこればっがりはどうにもできないんだろう。ならばさっきの小瓶はなんだ? という感じだけどね。だってあれも彼が出したように見えたけど、彼の姿自体がホログラムの筈だ。きっと独立した領域を作ってて私が及べる範囲外をちゃんと確保してるんじゃないの?

 それなら、権限を譲渡した後でも僅かな間はその権限を二重にしてもいいようにしてればよかったのに。できそうだけど。二重に同じ権限あるなんてセキュリティー上は問題あるかもしれないが、それもちょっとの間とわかってるのなら問題ないだろうしね。

 けど彼はそれをしなかった。彼からの要請が確かにこっちには届いてる。そこでようやく私は『彼』を一人の人間として認識するワードを知った。


『命に新たな指針を示すの者『オーベン・ガウィンツ』から要請がありました』


 うん……まあいいよ。要請は受けよう。そこは問題ないし? ただちょっとハッチを繋げるだけだ。だからそれはいい。その奥から何が出てくるかはしらないが……問題は名前……の前にある部分じゃないか? 

 え? なに? 『命に新たな指針を示す者』って? これ、誰がつけたの? いや、考えるまでもないよね? だってここには彼しかいないのだ。彼、オーベン・ガウィンツしかいない。となれば、これはつまりは自称……という事になる。痛いよ。私の華奢な背中がゾワゾワとしてなんかかゆいよ。

 イタタタタタタタタタタタタタ――と思ってしまう。まあもう死んてる人だ。今見えてるのはホログラムで最後にメタリファーとの約束を果たすために用意してた物だろう。

 そんな最後に無粋な事は言うまい。けどきっとこういう所も彼を孤独にした要因なんだろうなって思った。それとも何か? 彼の世界ではこういう二つ名? 的なことは普通にあったのだろうか? 確かめようがない。いつかオーベン・ガウィンツの世界に行くことがあれば、それか同郷の人と会ったときにそういう文化だったのか、それとも彼がただ痛い奴だったのか判明するだろう。


 私が彼の要請に許可を出すとハッチが開く。そして出てきたのは直径一メートルはあるかのようなコガネムシだった。なんかやけにピカピカの……ね。怪しげな液体の次は変な虫……か。


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