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 私の左腕がなくなった。せっかく完璧な体なんだよ? それが欠損してしまうなんて……それはとても残念だ。でもこのままじゃない……と信じてる。なにせこのままじゃユア・ユグドラシルをどこにインストールするのかってね。

 きっとその為に私の左腕も再構成しようとしてるんだと思うんだ。けどちょっと不安もある。


(もしも全く違う腕になったらどうしよう……)


 それである。いや、普通でいいんだけどね。普通が一番だよ? 元の腕に再構成してくれることを私は願ってる。でもユア・ユグドラシルは『彼』が改良したユグドラシルシステムだ。

 それが不安要素になってる。だって彼って天才。天才は何をやるかわからないし……結構癖があるものだろう。彼だって癖があったから、ユグドラシルシステムを作った功労者なのに、一人でこんな場所で最後を迎える事になってしまったわけだからね。

 本当ならそれこそ誰からも尊敬と賞賛を集めて、世界がどういう仕組みだったのかわからないが、夢でみたあの発展した世界なら、国から研究費とかもらって自由に研究とか出来たんじゃない?

 それら全てを引っぺがされて、この船一つで放浪させられた……なんて問題があったとしか思えない。それか、なにかの陰謀に巻き込まれたか……権力闘争に敗北したから、放り出されたとかね。


 ユグドラシルシステムを作った一人なら、国から保護されるレベルの功績だと思うんだ。普通なら一人でこんな所で死ぬ……なんてありえないでしょ。けど事実、彼は一人でここで最後を迎えたわけで……それだけ癖がある人物なのは間違いない。


 そんな彼が改良に改良を重ねてきたユア・ユグドラシルだよ? 絶対に変な癖あるって……そんな事を思ってると、残ってる二の腕部分がなんかチクチクというか? うずうずというか? そんな感覚がしてくる。


『加算遺伝子にゲノムのインストールを完了しました。左腕の再構成を始めます』


 なんかどうやら私の遺伝子が弄られてたらしい。てか加算遺伝子ってなに? よくわからないが、とりあえず左腕の再構成が始まった。さっきのを逆再生にするように輪っかが動き、骨を構成して、その骨に沿うような血管が伸びる。太い血管がまず出来て、それから細部まで伸びる毛細血管が手の形を形作る。そして細胞が肉を構成させていき、全体を覆う皮ができる。

 私の腕が……左腕が瞬く間に再構成されていく。

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