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『同じ系統、同系列のシステムの検出をしました』


 なにやらそんな声が聞こえてくる。けど警戒する必要はないだろう。だって、言葉的にこのユグドラシルシステムが私達を同系統とみなしてる。同じ世界からやってきたと……それがきっとわかったんだろう。


『データの同期を求めます』

「同期か……していいのかな?」


 はい、いいえ――が私の前に出てる。ちょっと迷うのは私の頭に送られたここの主……あの彼の記憶があるからだ。なにせあの彼は報われなかった訳じゃん?  ならばじくじくとした思いがあるかもしれない。まあここ……この船を見てきた中ではそんなのは感じなかったけど。寧ろなんかあの世界から離れて、この船……でなんか自分勝手にやってたみたいな? そんな気がしないでもない。けど結局、その人の心なんて他人にはわからないからね。

 でも悪い人……ではなかっただろう。変な人だっただけ。それは彼の記憶の中で思った。だから覚悟を決めて「はい」を選ぶ。


 するとそれと同時に沢山の情報が入ってくる。それと同時に同期してるんだから、向こうにもこっちの情報が流れてるはずだ。


『そうか、君が……』

「きゃあ!?」


 私は思わず体を横に向けて腕で胸を隠す。だって私はほぼ裸みたいなものだ。だから目の前に現れた男に対してするリアクションとしては普通だろう。私も女の子としての自覚が出て来たのかもしれない。


『なに、きにする必要はない。なにせ私は生きてはないのだから』


 なんか物悲しい事をいう男。そう……彼は……私が記憶で見た彼だった。それも髪がふさふさの時期の若い彼。禿げ散らかせしてた姿じゃないのはやっぱりこっちの方が格好がつく……という事なんだろうか? 

 まあけど彼はそういうけど、だからって男の人の前で堂々と裸をさらせるほど私の羞恥心は腐ってない。それが例え、もうこの世にいない人であっても……だ。今、目の前にいる『彼』――それはきっとむこうのユグドラシルシステムに残しておいた彼の最後のメッセージなんだろう。

 それか人格を投影したAIとか? 彼は天才だったし、そのくらい作れそうではある。


『私はずっと待ってたよ。誤解しないでくれ。ここから出る事じゃない。ここは誰にも邪魔されなくて助かったよ。あれには感謝してる』


 あれってのはきっとメタリファーだろう。何かあれと取引でもやってここにきたのだろうか? 


『やはり彼らは禁忌を犯したのだな』

「禁忌?」


 何やら私を見てそんな事を言ってる彼。禁忌……それって私の事か?


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