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「あぁぁぁぁああああああああああああああああ!!」


 響く絶叫。断末魔といってもいい。それでも……自分は歯を強く合わせてその断末魔を押し込む。痛みが全身を襲ってる。それでも……自分は待ってくれない腕に向かって、頭を投げだす。なぜそうしたのかわからない。

 間違った判断が多すぎるかもしれない。今の腕の状態とか考えての事だったのかもしれない。けど今の自分にはわからない。きっと頭が固いと思ったんだろう。


 腕の拳と、自分の頭がかち合う。いや、厳密にはまだぶつかってない。自身のあふれるエネルギーが腕の拳を阻んでる。でも腕はもう一方の拳を更に向けてくる。左右の拳を切り替えるようにワン・ツーワン・ツーと打ってくる。

 それが続くたびに自分の頭に衝撃がくる。クラッとするが意識を強く保つ。痛みで全身が熱い。でも逆に体のどこかが痛いから意識を飛ばさずに済む。


 ガシャコン――


 そんなリロード音が聞こえた。プシューと腕の節々から白い湯気がでる。まずい奴がくる――そう思った。なにせあの動作をした後の攻撃は威力がとんでもなく上がってるということがわかってる。

 流石にあれを頭で受けるなんてできない。そんなことをしたら、それこそ頭が吹き飛ぶ恐れがある。じゃあ、他にどこがある? となるとない。ならば避ける? ダメだ。よけた所で……だ。


(それなら!!)


 受けて立つ。そう思ったのは戻ってきてるからだ。このままじゃそもそも攻略なんて無理なのが分かり切ってる。それに既にこの腕は自分のデータを十分に取ってるだろう。対応にその余裕が見える。

 だからこいつがやらないと思ってる事をやらないといけない。きっとこいつは今までのデータから自分が避けて反撃してくることまで予想してるだろう。

 そういう計算をきっとしてる。それだけこの腕は合理的だ。だからこそ、それを壊す。その為には……


(持ってくれ俺の頭!!)


 自分の頭の頑丈さを信じるしかない。勿論ありったけの力を高めることだって忘れない。それでも不安がないなんてことないが、そんな弱気は封じ込める。

 ここで出していいものじゃない。その時だ。


(紡いでください我が勇者)


 その声は懐かしく、そして寄り添うように響く。迷いなんてなかった。


「我らは一つ。前を向いた見据えるは光。迫る闇は振り払おう。追いすがるな。駆け抜けろ。どこまでも永遠に。剣は我。我は剣。心は折れず。魂は彩色を放つ。

 我らは……不滅の剣であり不屈の魂であろう」


 次の瞬間、腕の一つがはじけ飛ぶ。そして体に起きる変化。確認しなくてもわかる。すぐに自分は拳を握って向けていた。

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