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「なんという……」


 思わずそんな声が出る。自分の名は『スペルジャムライム・ラムヒイム』皆からは『ラムヒイム』と呼ばれてる。賞金稼ぎと成り日金を稼ぎ、そして若い内にどこかで死ぬんだろうと思って日々を生きてきた。まあだがそれは賞金稼ぎなんてやってる奴らは皆同じだろう。賞金稼ぎは稼ぎは良いが、明日生きてられる保証もなにもない職業だ。何せこの世界に俺達を滅ぼそうと攻めてくる明確な敵である砂獣がいる。奴らは行き成り砂の下から現れて容赦なく人を食らう。

 人にも対抗する力があるが……砂獣の奴らは何せ数が多い。奴らは無限に砂の下から現れるんじゃないかと思うほどだ。毎日命を晒す日々。それに皆すり減っていた。いや、俺達という範囲だけではない。いつか……滅びるんだという焦燥感はこの世界全体に蔓延してただろう。


 だが今、自分は希望を目にしてる。ジャルバジャル跡に立ち上がる赤い柱。それはまるで世界の終わりを告げるかのようでもある。誰も知らない奴が遠くでこの柱を見たら多分そう思うだろう。それだけ強烈だ。だが自分の心証は全く違ってた。自分の中に湧き上がるこの気持ち……熱い何か……自分は思わず自分の胸をギュッと掴んでた。この時自分が何を感じたか……それはきっと『希望』って奴だ。滅びに向かうしか無いとわかってるこの世界で、逃げじゃない……本当の希望……それを自分は……この場にいた自分たちはきっと感じた。


 けどやはりそこは砂獣。柱によってかなりの数が焼かれたが、それでも次から次へと砂の中から這い出てくる。


「そうだ!! もっとこい!! もっと我を楽しませてみろ!!」


 魔王は凄い。あの数に物怖じなんてしない。たった一人で埋め尽くすほど居る砂獣をバッタバッタとぶち殺していってる。奴が腕を振るうだけで、その直線上の砂獣が一斉に消滅する。奴が地を蹴れば砂が大量に舞い、その姿が消える。そして上からあらがいようのない力の雨の嵐が降り注ぐ。


「おい、こっちにもきたぞ!」

「あいつがあれだけやってくれてるんだ! 俺達もやるぞ!!」


 魔王の姿に触発されて皆のやる気も戻って来た。あいつがいれば……やれる。その思いが今はある。


「まあ、あいつは止めても聞かないだろうからもう良いけど……やっぱりこの世界はこの世界の人達が勝ち取るものだと僕は思ってます。そうしないと意味が無い」

「旦那は手助けしてくれないって事ですかい?」


 魔王と同じ力を持つと思われる勇者がそんなことを言う。胸に湧いた希望に落とされる一抹の不安。だが……その言葉は正しいとは思う。でもそれじゃあ、この人達がここに来た意味が分からない。確か何か目的があるって聞いてるが……大体皆の中ではこの世界を救うために現れた使者なのだ。その勇者がそんなことをいうと、見捨てられたのかとおもう奴も居るだろう。


「手助けはするよ。知り合いが死ぬのは忍びない空ね。でも全部を僕たちで解決するわけにはいかない。なにせ最後まで付き合えるのかなんて分からないし、他人が救った世界に価値なんてないだろう? 次同じような事が起こっても、都合良く世界を救ってくれる物が現れることはきっと無いんだからさ」

「それは……」

「大丈夫、ちゃんと手助けするさ。ほら」


 そういって勇者は自分達になにかを掛けた。力が漲ってくる。まるで血浄をつかったのかような……いやこれはそれよりも……自分達は顔を見合わせた。以心伝心で分かる。皆が「いける」って思ってる。俺達は授けられた力を持って砂獣へと向かっていく。

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