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「「「はあはあはあ……」」」


 私たちは荒い息を吐いていた。ちょっと熱くなりすぎてたかな? 魔王のやつ、無茶やって力をぶっ放してきやがって……まあでも私には効かないんだけどね。それで挑発したらさらに熱くなって続けざまに力ぶっぱしやがって。それを止めるために勇者も力を使って、なんか三人とも消耗した。


 いや、私は別段何もしてない。いうなれば口を動かしてただけだ。てか勇者は馬鹿だね。別に私には二人の攻撃なんてほぼ効かないのに。そういうところが勇者ってことなんだろうか? 


『コントは終わりましたか?』

「なんてこというのよ……」


 AIが酷いことを言ってくる。このAIは感情があるのかないのかわからないよ。なんかちょっと片鱗が見える気がするけどね。


『とりあえず触れてみてください』

「わかった……」


 私は意識的に手を動かす。ぐぬぬ……手が重い。ギギギと変な音が関節部分からするし、本当にダメージが重い。こんな岩でどうやって直すかわからないが、このロボットには私の知らない機能が満載みたいだし、信じるしかない。


「よし……」


 なんとか腕が岩に触れることができた。目と鼻の先なのに、この距離に手を伸ばすのがこんなにつらいとは……筋肉痛とかとはなんか違う。なんかプチプチと接続が切れてるから私の思いとタイムラグが起きて違和感バリバリ……みたいな? それに動かすと常に壊れてる箇所なのかチリチリと痛む。時々バチッとくるのが怖い。


「どうなの?」

『なんとか使えそうですね。お手柄です』

「お手柄だって」

「何言ってるんだ? 貴様が言ったのだろうが」


 おおう……魔王の奴、私とAIの事を混同してるじゃん。まあ確かに魔王や勇者は私のこの複雑な事情なんてわかりようがないんだけどね。でも全然違うくない? 私の声の感じと、AIの声の感じは全然違うでしょ。私はこんなに感情豊かにしゃべってるというのに、間違うかね? だからモテないんだよ。知らんけど。


「そうだった。頭が高い、控えおろう」

「なんだと貴様!!」


 とりあえず面倒くさいから適当言ったら怒られた。


「何をやってるんですか?」

「おい! 勇者貴様!! は・な・せ!!」


 やっぱり絶対に仲いいよねこいつら。勇者は魔王を体で止めて笑顔でそう言ってくる。私がこんな姿じゃなくて、直接この目で見てたら、その笑顔に落ちてたかもしれない。まあそこら辺の感覚は実はまだわからないが。すでに心は女であることに違和感なんてない。でもだからって女側の恋とかはよくわからない。


 むしろ、なんか組んずほぐれつしてる二人にニヤニヤが……


(いやいや、私は腐ってなんか無い筈。その筈だ)

「えーと……」


 私は勇者に答えようにもその答えを持ってはない。だから内側で何やってるの? とAIに聞いた。


『同調できる物質をエルデン波により分解して取り込み、エルデンシステムによって再構成・再構築を行い、補修を行います』

「…………なるほど」

『…………』


 なんだろう……AIは何も言ってないのになんか馬鹿にされてるのわかるよ。絶対にわかってないと思われてる。実際わかってないが……でも勇者は答えを待ってる。ええと――


「二人の持ってきたこれを私の力で使えるものだけ使うのです。すべてが使えると言うわけではないですからね」

「なるほど……では他にも必要では?」


 なんか勇者がやけに協力的なのはなんなのだろうか? まあそれは魔王もか……こんなの運んで来てくれたんだからね。普通魔王ってそんなパシリみたいな事ってやる? やらないよね。てか勇者はまだパシリをする気満々だけど……


『そうですね。これだけではまだ足りないみたいです』

「かなりでかいよこの岩……」


 これで足りないってちょっと効率悪くない? そのエルデンなんとか。だって私を潰せそうな程の巨岩なのに無理ってね。まあいいや、こいつらにキビキビと働いてもらおう。


「そうですね。もう少し探してきてくれると助かります」

「では、いくぞ魔王!」

「いくなら一人で行け勇者! 我はそんな使いパシリの様なことは一度しかやらん!」

「一度やったのなら二度も三度も同じだろう。それにこの方のおかげで俺たちの世界は救われたんだ」

「それはまだわからん」

「だが、力は感じた筈だ」

「…………くそ」


 なんかよくわからない会話をしてる二人は、再びどっかにいった。木の枝を伝ってすぐに見えなくなる。


「どこまで理解してるのあの二人?」

『少なくとも、貴女よりは現状を理解してますよ』


 AIからの酷いディスリを受けた。怒ったから不貞寝してやる!!

次回は正午に予約投稿してます。

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