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「もう直ぐ静の時間が来ます」


 そう告げるのは軍の兵士の一人だ。それに伴って賞金稼ぎの奴らは付き合ってらんないとさっさと自分たちのテントへと入っていった。静の時間と言うのはこの世界の人達が眠りにつく時間だ。ずっと太陽はてっぺんにあって、そして動く事もしないから時間を計るって事が出来ないわけだが、この星歌の人達にはその時間がわかるらしい。

 そもそもジゼロワン殿が正確に秒数とかを数えて毎日の静の時間を計ってたが、その時間はまちまちだった。正確ならそれこそ大量にある砂をつかっての砂時計とか出来ただろうが、結局の所一日という時間すらまちまちのこの世界には正確な時間を計る術がない。いや、砂時計事実大量に流通はしてる。短時間計るのに便利だからな。


「くっ……どうするんだ!! このままでは私が悪魔に……そうなったら責任取れるのか!! 私は時期アズバインバカラの領主だぞ!!」


 どら息子の奴が権力を盾に無茶な事言い出した。いや、だからデカくないテントならアルンだからそれに入れば良いだけだ。確かに狭い……だが背に腹はかえられないだろう。女の子達は兵士達のテントを借り受けて二人一組で入るみたいだ。そして兵士の人達も二人一組のメンツが出てる。まあこれはしょうが無い。何も起きようもないんだが、流石に領主の息子のお気に入りの女性と同じ寝床ってのは不味いんだろう。

 むさ苦しい男……しかも砂漠を歩いて来て汗臭いのに狭いテントに押し込まれて……絶対にやだね。ちなみに領主のどら息子がいった悪魔ってのはおとぎ話とかそういう類いの物だ。親が子に言い聞かせる怖い話し的な? まあけど実は事実だけどね。

 なにせ俺達が街の外でみた静の時間の事がその悪魔なんだろう。俺達は無事だったが、それは俺と魔王とそしてジゼロワン殿だったからだ。俺と魔王も前のままだときっとあのまま悪魔に飲まれていただろう。今は強打無い力を宿した体へと昇華されたから俺達は生き残れたんだ。どら息子がもしも静の時間を起きたまま過ごしたら、生きてるなんて事はあり得ない。断言できる。


「おい、俺達もそろそろ作るからちょっと黙ってろ」

「作る? ですか?」


 魔王に突き飛ばされて砂の上に倒れたのに、それでも魔王には徹底してへりくだる……絶対にこいつ上に立つ器ではないだろう。


「我は貴様等の様にこじんまりとした物などで満足しないからな。ふん!」


 魔王が腕を持ち上げると、大量の砂が持ち上がった。それは俺達の背丈を悠々と超えて見上げるほどになる。いや、こんな大きくなくて良いだろう……力の無駄だぞ。


「やれ!」

「はぁ」


 まあここでバトルってのも面倒だしな。俺は魔王が持ち上げた力に更に力を混ぜていく。それによって砂の中で光が弾けては消えていく。空に魔方陣が回り、そして二人して魔法を解除した。砂が僅かに散って光を反射してるが、誰もそれよりも出来上がった物に目を奪われている。それはこじんまりとした城だった。


「おおー! さすがはお二人ですじゃ!」


 そういうジャル爺さん以外は驚愕で目ん玉飛び出しそうにしてた。

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