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 テントをせっせと建てる……とか思ってたけど、なんかよくわからない所では魔法的だった。皆なんか腰に白い布をぶら下げてるなって思ったら、それを投げて地面に落ちると、モゾモゾと動いて、小さな三角のテントになった。


「おお……」


 思わずそんな声が出る。なんかテントになるまでの動きがキモかった。でも確かに魔法的でもないと、こんな砂漠の真ん中にテントなんて立てられないか。オアシスでもあれば別だが……どうやらないし。


「はっ、庶民はなんとも質素だな。おい」


 どら息子がそう言うと軍の偉い人が部下に指示をする。するとそいつらが運んでた荷物から、腰に下げてるのよりも大きな布を出して来た。しかも四つである。


(なんで四つ?)


 とか思って見てると、ある程度離れてそこにそっと置く。そしてなにやら一斉に何かを唱えたと思ったら、モゾモゾとその布が動き出した。うん、やっぱりきもいな。モゾモゾと動いてた大きな布はまずはゆっくりと広がっていく。最初は四方に均等に広がって行ってたけど、途中でセンサーでもあるのかってくらいに中央に向かって動き出した。一点を捻って伸ばして中央で合流してそれから間を埋めるかの様に広がってく。


 そして縦にも伸びていき、もっこもことやっていくと、二階建てくらいのでっかい正方形の形になった。どういうことか、窓とか見える。


「まあこれでも手狭だな」


 賞金稼ぎの奴らが口を開けて惚けてると、ドラ息子がそんなこと言いながら鼻を高く上げている。


「面白いな、どういう原理だこれは? バヌーヌの皮の特性と似てるようだが」


 そう言って魔王のやつが完成した巨大テントに近づいてく。そして建ってるそれを手で掴んでひっぱたり伸ばしたりしてる。バヌーヌっていってもこの世界には多分存在してないから、きっと誰もわからない。今や遠い自分たちの用いた世界の生物の事だからな。


「ワッハッハ、魔王様、それはそこらの貧乏人の使ってるやつとは違うので頑丈ですよ。心配いりません」

「そうか? バヌーヌよりも頑丈か?」

「それは……どうかわかりませんが」


 どら息子はそういうしかない。なにせバヌーヌを知らないしな。てか魔王の奴は何をそんなにこだわってるのか? 


「なら試すか――」

「え?」


 そういった魔王は徐に出来上がったそのテントを引っ張った。するとなんということだろうか……端っこが破れたと思ったら、まるで穴を開けられた風船のようにテントは飛んで行ってしまう。そしてなんか中身をばらまいてた。


 まああれだけでかかったんだから中身だってそれなりにあるのは当然だろう。でも確か最初のアレは四分割されてたような? 中の家具とかどうなってたんだ? 不思議でならない。


「あああああ!!」


 魔王の行為にただただ絶叫するしかないどら息子。テントはかなり遠くに飛んで行き、そしてあらかた中身を吐き出したら――ボスン――と砂漠に落ちた。それはもう残骸、瓦礫、捨てられたシーツ――色々と言い方あるが……まあアレはもうゴミだな。

 ご愁傷様――軍の奴ら以外そんなことを思ってる奴は居ないけどな。魔王がやったことだからどら息子も怒るに怒れないのがなんともって感じで、それがさらにざまぁってなかんじを掻き立ててる感じがする。


(まさか意図的?)


 そんな推察をしてしまうがどうだろうか? 魔王に目をやっても大笑いしてるだけでこっちに何も返しては来ない。

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