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 この世界に夜はない。最初、この世界に来た日のことだ。なんかずっと太陽が空のてっぺんにあるなーと思ってた。そして何気に聞いたんだ。部屋に居るお世話係の人に。白い布を巻き付けて、薄い布で目の下を隠してる様な格好のその人にね。


 なんかお世話係の人はだいたいそんな格好だった。お腹とか出てるし、腕の方も脇まではだしてる。隠す所と見せる所は意図的なのだろうか? とか余計な事も考えたが、そんな事はどうでも良い事だ。


「夜? とはなんでしょう?」


 そんな言葉に驚いた。どうやらこの世界には夜という概念がそもそも無い。じゃあ皆眠らないのかっていうとそんなことはない。皆ちゃんと眠る。でもそれが眠るという事なのか……はちょっと疑問だ。


「えっと、こうやって太陽が出てる時が日中とかで、明るいじゃないですか。太陽が沈んで暗くなったら夜っていって――」

「太陽が沈むなんて……不謹慎です! 神は常にあそこに居るのです!」


 怒られた。どうやらこの世界では太陽は神らしい。太陽が神に見立てられる事はよくあるか。


「それじゃあ、あの太陽が沈むことは――」

「あり得ません!」


 なんか涙目で睨まれた。うう……ただ確かめたかっただけなのに。それからしばらくしてたら、皆さん自主的に部屋や家へと戻っていて、ある一定の時間になると、町中からも人の影はなくなった。まばらにあるとかじゃない。

 まったくないんだ。そして静寂に包まれる。風の音しかしない。日が出てるのに、其れしか音がしないっても不気味だった。それから魔王の奴が状況を確かめに来て、ちょっと外に出てアズバインバカラの街を巡ってみた。すると誰もが皆、寝てた。まあわざわざ家を覗いたりはしてない。

 このアズバインバカラにも家がないもの達はいる。そういう者達は小汚い布を引いただけの地面に横たわってたんだ。


 それから八時間は皆さんぐっすりと眠ってた。そして起きる時も一斉に起きる。はっきりいってそれは俺達に取っては異常な光景だった。俺達は……俺達の世界では眠るのも起きるのも自分たちの意思で出来た。でもこの世界は違う。


 この世界は本当に、神という存在が世界を管理してるみたいな……いや、この世界の生物を管理してるみたいな印象をうける。


(でも……それなら砂獣って何の為に?)


 そんな疑問が生まれる。神が全てを管理してるのなら、わざわざ砂獣なんて外敵が必要なのだろうか? 一体、ここの神は何をやろうとしてるんだろう。俺達は偶然にこの世界に来たと思ってたが、もしかしたら何かの目的で神という存在が招いた可能性だってある。


 事実、俺達のせいで変化は現れている。太陽を目指す世界ってのも、実はちょっと気になってる。

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